<全日本大学野球選手権:道都大3-2大体大>◇9日◇2回戦◇東京ドーム

 道都大(札幌学生)が延長11回タイブレークの末、大体大(阪神)に競り勝ち、初のベスト8に進出した。先発の若杉健投手(4年=留萌千望)が6回まで無失点に抑え、7回からエース佐藤峻一(3年=北見柏陽)に継投。0-0のまま延長に入り、1死満塁から始まるタイブレークで10回はともに2点、道都大は11回に左犠飛で挙げた1点を佐藤峻が守り切った。今日10日の準々決勝で連覇を狙う東洋大(東都)と対戦する。

 道都大の佐藤峻が、タイブレークで真価を発揮した。10回はあと1人で同点とされたが、1点リードの11回は同じ轍を踏まなかった。「アドレナリン全開にして投げました」。1死満塁で最初の打者を三直に仕留めると、続く代打には「目が慣れていない」と直球で勝負。最後は143キロのストレートでバットの空を切らせた。

 「疲れはありませんでした。フォークもスプリットも調子が良く、ストライクが先行できました」。6安打1失点で完投した1回戦の上武大(関甲新学生)戦に続き、自らの右腕で8強進出をもぎ取った。決め球を早いカウントから投げ込み、打者を追い込んだ。マウンドに上がった7回から9回まで、与四球1の無安打投球。試合の流れを引き寄せていった。

 勝利にこだわった継投策が実った。山本文博監督(55)は6回3安打無失点と好投していた若杉を、7回から佐藤峻にスイッチ。「若杉は丁寧に良く投げた。でも、勝つためにはエースの佐藤しかいないと思った」と迷いはなかった。MVPを獲得したリーグ戦からフル回転の佐藤峻が、期待に違わぬ力投で応えた。

 我慢した。打線は、最速145キロの直球に120キロ台の変化球を交える相手左腕にてこずった。9回まで散発5安打、併殺を2度喫するなど無得点。しかし、守備では1回裏2死一、二塁から中前打を許した場面で、吉川翔汰中堅手(3年=駒大苫小牧)が本塁へダイレクト返球し、間一髪で先制点を阻止するなどもり立てた。

 05年に就任した山本監督は「一番のチーム」と口にする。技術だけでなく、あいさつ、服装など日常生活もそうだという。「4年生が率先して掃除などもやります。チームワークはどこにも負けません。そういうのが試合に出るんですかね」と主将の林幸平捕手(4年=駒大苫小牧)。目標のベスト4へ、勝負の舞台は東京ドームから神宮へ移る。【中尾猛】