<東都大学野球:東洋大3-1日大>◇最終週最終日◇29日◇神宮球場

 負けた方が最下位決定の3回戦で、東洋大が日大に逆転勝ちした。

 動かないはずの東洋大4番緒方凌介主将(4年=PL学園)の右膝が、全力で二塁を駆け抜けた。「入れ替え戦がかかってたんで。足のことは一切頭になかったです」。1点を追う7回1死一、二塁、右翼線への同点打。前の試合で本塁打した3番戸田敬遠後の、値千金の一打だった。

 プロ注目の外野手として、春6連覇がかかる東洋大の主将として臨んだ最後の春。ところが第3週後、練習で右膝靱帯(じんたい)を損傷した。今季復帰は絶望的と言われベンチ外に。それでも「守れなくても打つならできる」と第6週からDHでスタメン復帰。膝はテーピングでガチガチだ。出塁→即代走がお約束だが、その“最初の一打”を最もほしい場面で出した。

 高橋昭雄監督(63)も目尻を下げてねぎらった。「劇的なヒットだね。一番苦しんだのは彼だから。日大は緒方をなめてたね」。42打席目にしてマークした、今季最初で最後の打点。「主将なのに迷惑かけたので、少しは取り返せたかな」。これでやっと、治療に専念できる。【鎌田良美】