東京6大学リーグ慶大で今秋まで監督を務めた江藤省三氏(71)が、付属高校、大学などを統括する「慶応義塾体育会野球部」の総監督に就任することが25日、分かった。元巨人、中日の江藤氏は、来月の学生野球資格回復研修会(アマ側)を受講すれば、高校野球の指導が可能になる。主に慶応(神奈川)慶応湘南藤沢(神奈川)慶応志木(埼玉)の付属高校3校を指導予定で、12月1日に正式就任する。

 「慶応義塾体育会野球部」に総監督が誕生するのは史上初で、プロアマ双方に精通する江藤氏に白羽の矢が立った。江藤氏は10年シーズンから、元プロ監督としては初めて慶大野球部監督に就任。10年春のリーグ戦で優勝するなど、2度のリーグ制覇を果たしたが、4年間の任期満了にともない、今月30日に退任する。

 大学の後任は12月1日に竹内秀夫助監督(59)が昇格することが決定し、総監督に就任する江藤氏の役割は主に付属高校3校の指導になる。3日の早慶戦終了後は「プロの世界から戻るなんて昔なら考えられなかった。最高にハッピーな4年間でした」と振り返ったが、その手腕を今後は伸び盛りの高校生に発揮する。

 慶大の付属高校は、慶応、慶応湘南藤沢、慶応志木の3校。特に春夏通算25度の甲子園出場を誇る慶応は、「エンジョイベースボール」を掲げて県内屈指の実力を誇るが、09年センバツ以降は出場を逃している。

 江藤氏は来月の学生野球資格回復研修会を受講することで、これまで大学生に限られていた指導が、高校生に対しても可能になる。詳細は未定だが、審査などの手続きが終了する年明けをメドに、定期的に各高校を回ることになりそうだ。

 現在慶大には、東大を除く東京6大学リーグのライバル校が採用しているスポーツ推薦制度がなく、4番谷田成吾外野手(2年=慶応)ら、付属高出身選手が主力となっている。江藤氏の指導は、甲子園出場の後押しになるとともに、慶大野球部の底上げにもつながる期待が高まっている。

 ◆学生野球資格回復研修制度

 今年6月18日の日本学生野球協会理事会で承認されたプロ野球経験者(元プロ)が、学生野球の指導者になるための制度。これまで高校の指導者になるには教員免許を取得した上で2年間教壇に立つことが必要だったが、撤廃。プロ側、アマ側が定める双方の研修を受講すれば指導可能になった。プロ側の研修は7月の東京から4度開催され、計491人が受講。今後はアマ側の研修となり、12月13、14日に東京、来年1月31日、2月1日に大阪で開催。江藤氏はすでにプロ側の研修は受講を終えている。

 ◆慶大の付属校成績

 慶応は春夏通算25度の甲子園出場を誇るが、夏は08年、春は09年を最後に甲子園出場から遠ざかっている。今夏は神奈川大会4回戦で5-6と横浜隼人に敗戦。今秋は8強入りしたが、同準々決勝で5-6と横浜に敗れた。慶応湘南藤沢、慶応志木は甲子園出場がなく、慶応湘南藤沢は今夏は神奈川大会2回戦、今秋は地区大会敗退。慶応志木は今夏は埼玉大会3回戦、今秋は同2回戦で敗れている。