<仙台6大学野球:仙台大7-4東北福祉大>◇第5節最終日◇12日◇東北福祉大野球場

 仙台大が優勝した80年秋以来34年、67季ぶりに東北福祉大から勝ち点を挙げた。2点を追う7回に3番・大坂智哉内野手(2年=青森山田)の決勝タイムリーなどで5点を奪って7-4と逆転。2回戦からの連勝で勝ち点4とし、単独首位に立った。17日からの次節で東北学院大戦から勝ち点を奪えば、67季ぶり3度目の優勝が決まる。

 33年半の歳月をかけて、仙台大が長いトンネルを抜けた。8回途中から3番手で登板した1年生右腕・馬場皐輔(仙台育英)が最後の打者を三振で仕留め、ナイン全員の気持ちを表現するように両腕をグッと広げる。64度の優勝を誇る東北福祉大から、67季ぶりの勝ち点。「うれしいです」。馬場は短い言葉に実感を込めた。

 残り3イニングで2点を追う展開。森本吉謙監督(40)は「恐れずに行こうぜ!」と選手に伝えた。80年秋以来、東北福祉大に1勝はできても、あと1本、あと1点が足りずに勝ち点を取り切れなかった。2回に先制の今季3号を放った主砲・松本桃太郎(2年=北海)も「焦らず1点1点の気持ち」と振り返った。ナインに失うものはない。気後れもなかった。

 7回に同点に追いつき、なお2死一、三塁で大坂が城間竜兵(2年=八戸学院光星)の直球を中前に運んだ。青森山田時代に県大会で2試合1安打に抑え込まれた宿敵からの決勝打。「城間は勝負してくると思った。打った瞬間(中前に)抜けたという感じ」と、右拳を突き上げながら一塁へ駆けだした。

 1、2年生の活躍で単独首位に躍り出た。森本監督は「選手が底力を見せてくれた。ただ目標は福祉大に勝つことではない」と気を引き締める。大坂によるとチームの合言葉は「歴史を変える」。盟主を撃破した次は、3度目の優勝と全日本大学選手権(6月)初出場を狙う。17日からの東北学院大戦へ松本は「1敗もしない」と断言した。連勝で勝ち点5の完全優勝を決め、新たな歴史を刻む。【久野朗】

 ◆仙台大野球部

 69年に愛好会として発足。翌70年に部に昇格し、同年春から始まった仙台6大学リーグに参加した。優勝は75年秋と80年秋の2度。明治神宮大会の出場はなく、全日本大学選手権の出場権を得る春の優勝はなし。部員数143人。宮城県柴田町にグラウンド、合宿所がある。