中日がドラフト6位で指名したホンダ・諏訪部貴大投手(21)が、入団を拒否する可能性が出てきた。6日、中田スカウト部長、仁村、山本両スカウトが埼玉・狭山市にあるホンダ埼玉製作所へ指名あいさつに訪れた。中日側から6位指名に至った経緯など約1時間にわたって説明を受けた。同席した諏訪部は入団の意思について保留した。

 あいさつを終えた右腕に笑顔はなかった。「(入団するかは)五分五分です。(順位や球団は)関係ない。自分の中ではまだ(社会人で)やり残したことがある」。ドラフト当日は中日の6位指名を受けて「7対3で残留」と話していたが、この日は「あの時は感情的だった」と態度を軟化。フラットな気持ちで臨んだが、口ぶりは「入団拒否」に傾いているようにも思える。予想以上に低い6位指名だったことも、影響を与えているようだ。

 ホンダ内には過去に2度、日本ハム、ロッテの指名を拒否し、巨人から今年1位指名された長野がいる。諏訪部は「(長野から)『自分のことは最後は自分で決断するしかない』と言われた。(過去に)どのような気持ちで拒否したのかも聞いた」と先輩に相談したことを明かした。社会人で実績を残し、プロ入りしたいという思いが強いようだ。

 これからも話し合いを継続する。中田スカウト部長は「会社の方にはご理解いただいたと思う。条件面はこれから。あとは本人次第」と話した。ホンダは12日からの日本選手権(京セラドーム大阪)に出場するため、今後の交渉は大会終了後に行われる予定。仮に入団拒否となれば、中日では81年の5位浜田(電電東海)、6位古川(北越商)以来28年ぶり。21歳右腕の決断に注目が集まる。【桝井聡】