2014年プロ野球ドラフト会議は10月23日に東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われる。今回の見どころを日刊スポーツ・メディア戦略本部の福田豊が紹介する。<1:投手1位候補>

 今年の1番人気は早大・有原航平投手だろう。

 189センチ、95キロの恵まれたボディーから最速156キロの速球と多彩な変化球を投げ込む。最大の長所は制球力。糸を引くようなストレートを外角低めにズバっと投げ込める。変化球(ツーシーム、チェンジアップ、カットボール、スライダー、カーブ)を低めに集め早いカウントで打たせて取る投球もできる。広陵高時代からコントロールの良さには定評があったが、さらに磨きがかかった。

 プロの現役選手で言えば巨人菅野をさらにスケールアップさせたイメージだろうか。1年目からローテーションに入り10勝以上する力は十分にある。ただ今秋は右肘違和感で出遅れた。それでも18日の立大戦で今季初先発すると6回を4失点。最速は150キロをマークし集まった40人のスカウトを安心させた。すでに地元広島が1位指名を決定。阪神、日本ハム、DeNAなども1位の有力候補に挙げており複数球団による1位入札は間違いない。

 有原に続くのが済美・安楽智大投手。こちらも昨秋に右肘を痛め、最速157キロの速球は復活途上で最後の夏を終えた。それでも知名度、話題性は有原以上。2年時の投球が復活すれば日本球界を背負って立つエースになれる器だ。ブレークしたのは昨年春のセンバツだが、安楽のベストピッチは2年夏の甲子園後に台湾で行われたIBAF18UW杯ではないだろうか。ベネズエラ戦とキューバ戦での快投は見事だった。ベネズエラ戦は9回2安打16三振を奪い100球で完封。強敵キューバも8回無失点で10三振を奪った。スピードよりもキレを重視。145キロ前後の直球、そしてスライダーを外角低めに集めた投球は素晴らしかった。この大会では最優秀防御率と最優秀勝率に輝いた。こちらも複数球団の1位入札が予想される。

 安楽とともに高い評価を得ているのが前橋育英・高橋光成投手だ。昨夏の甲子園優勝投手。春先は右手のケガもあり調子が上がらずスカウト陣をやきもきさせた。それでも最後の夏に復活。健大高崎に敗れ甲子園に帰ってくることはできなかったが本来の投球を取り戻した。甲子園後にタイで行われたU18アジア選手権には日本代表のエースとして出場。昨夏より一回り大きくなった体から最速149キロの速球、鋭いフォークボールを投げ完全復活を印象づけた。安楽に並ぶ甲子園のスター選手。こちらは西武が1位指名を公表。単独入札になるか、それとも複数球団による抽選となるか注目だ。

 このほか1位候補は、右腕では亜大・山崎康晃投手、東農大北海道・風張蓮投手、盛岡大付・松本裕樹投手、西日本短大付・小野郁投手。山崎は3年までは主にリリーフで活躍。4年になり先発を任されている。先発でも救援でも1年目から使えそうだが、リリーフでの投球は圧巻。150キロ前後の浮き上がるようなストレートは藤川球児レベルで、バットにかすりもしないというシーンを何度か見た。

 風張は岩手・伊保内高出身。高校時代も無名校ながらドラフト候補に挙がった。最速151キロの速球が武器で阪神が高い評価を与えている。

 松本は最速150キロの速球、多彩な変化球、巧みな投球術が持ち味。今夏の甲子園では右肘に不安を抱えながら東海大相模の強力打線を抑えてしまった。右肘痛がネックとなるが、将来のエース候補。打撃も素晴らしい。小野も投げて打っての二刀流。投げては最速153キロ。打っては高校通算25本塁打。176センチ、70キロと大型選手ではないが、高校の先輩・新庄剛志クラスの身体能力の持ち主。投手でも野手でも大きな可能性を持った選手だ。