<プロ野球ドラフト会議>◇23日

 「プロ野球ドラフト会議

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 リポビタンD」が都内で開かれ、ソフトバンクが盛岡大付・松本裕樹投手(3年)を単独1位指名した。最速150キロ右腕で高校通算54本塁打と「二刀流」の才能を持つが、プロでは投手一本でやっていくと宣言した。来季から指揮をとる工藤公康氏(51=日刊スポーツ評論家)とは今夏の甲子園期間中に会い対談した仲。“縁”のある球団からの1位指名に、クールな表情を崩して喜んだ。

 信じられないうれしさだった。1巡目の最後。ソフトバンクから指名を受けた。だが、松本の表情はまったく変わらない。しばらく目の前のテレビ画面を見ながらぼーっとしていた。

 「1位指名されたい」-。2年冬のオフに目標を立てた。3年春には最速150キロに到達。12球団から注目される選手に成長したが、夏の岩手県決勝で右肘に痛みが走った。右肘靱帯(じんたい)炎症。激しい痛みを抱えたまま臨んだ甲子園では思うような投球が出来なかった。「指名されないんじゃないかと思うこともありました」。不安を胸に秘めていただけに1位は驚きの結果だった。「とてもうれしいです」と表情を崩し、報道陣が用意した球団の帽子をかぶると頬を赤らめた。

 神奈川に生まれ、プロ入りを目指すため高校から岩手・盛岡へ。今度は1度も行ったことのない九州で次の人生が始まる。実はソフトバンクとは二重に縁があった。新監督就任が決定的な工藤氏とは今夏の甲子園期間中にテレビの取材を通して対談。右肘の状態を気にしながらピリピリしていた時期に「大先輩」からアドバイスをもらい心休まるひとときを過ごした。その際、工藤氏は「考えている子。自分を冷静に捉えている」と野球に対する姿勢を絶賛していた。松本は「優しかった。縁のない人ではないのでうれしい」と巡り合わせを喜んだ。

 恵まれた体つきと、繊細な指の感覚。打者と試合状況をみながら悠々と投げる天才肌のピッチャーだ。打者としてもセンス抜群だが「投手としてがんばっていく」とあらためて宣言した。「いずれは日本を代表するピッチャーになっていきたい」。新天地九州で、さらに成長を続けていく。【高場泉穂】<松本裕樹(まつもと・ゆうき)アラカルト>

 ◆生年月日

 1996年(平8)4月14日。

 ◆家族構成

 両親、兄、弟。

 ◆投・打

 右投げ・左打ち。

 ◆野球歴

 南瀬谷小1年から軟式チーム南瀬谷ライオンズで野球を始める。南瀬谷中では瀬谷ボーイズに所属。盛岡大付では1年春からベンチ入り。2年秋から背番号1。1年夏(出場なし)2年春、3年夏に甲子園出場。

 ◆好きな食べ物

 肉、牛乳。牛乳は幼少期から水代わりに飲んできた。

 ◆嫌いな食べ物

 野菜。「おいしくない」