<プロ野球ドラフト会議>◇23日

 固唾(かたず)をのんでモニターを見つめていた前橋育英・高橋光成投手(3年)は、西武の“一本釣り”が確定した瞬間、初めて白い歯をこぼした。事前に1位指名は公表されていたが「半信半疑だったので、すごくうれしかった」と一安心。会見後の報告会では、早くも「西武ライオンズの高橋光成です」とあいさつして野球部員の笑いをかっさらった。

 野球よりサッカーが有名、過去にドラフト指名された選手は1人という同校で、プロへの思いが明確になったのが昨夏の甲子園優勝だった。「具体的に、自分でもやれるんじゃないかと思うようになりました」。今年は右手親指の骨折で出遅れ、甲子園には戻れなかったが熱は冷めなかった。少年野球を始めた小1の時、初めてプロ野球を見に行った西武ドーム。「何か縁があるのかな」。11年の時を経て、今度はプレーヤーとして足を踏み入れる。

 1年秋からエースだった高橋は、西武でもその座を目指す。「18番が空いてるみたいなので、狙いたいと思います」。球団は現時点で、昨季まで菊池が背負った背番号「17」を用意する方針。将来のエース候補として期待されている。1歩手前から、自力でエースナンバーをつかみ取る。

 昨年高校日本代表でともに戦った森と、バッテリーを組むのも目標だ。理想の投手像は日本ハム大谷。「160キロは無理でも、それに近い球を投げたい。1年目の途中からでも1軍に上がりたいです」。149キロ右腕の「夢」は「目標」へと、ハッキリと形を変えだした。【鎌田良美】