日本ハム田中賢介内野手(27)が15日、リードオフマンの座の「略奪」を来季構想として明かした。札幌市内の球団事務所で6500万円増、自身初の1億円の大台突破となる年俸1億4000万円(推定)で契約を更改した。今季は打順1、2、3番をチーム状態に応じて任されたが、1番への興味を示唆。森本の定位置で、2番打者としてコンビを組んできたが、実力行使での“解散”を狙い10年目の来季へ挑む。

 胸に秘めた野望を、少し遠慮気味に披露した。田中が青写真をすでに描いていた。今季は核弾頭、つなぎ役、中軸を兼務。今季経験した3択から選んだ09年の希望プランは、1番定着だった。「打線の雰囲気をつくれる。積極的に(試合の)流れを持っていける」。ひちょりを気遣ってか、慎重に言葉を選んでいたが、すでにターゲットは決まっているかのようだった。

 新境地への挑戦になる。昨季まで2年間は、不動の2番。06年の44年ぶり日本一、07年はパ・リーグ新の58犠打で球団史上初の連覇達成、快挙連発の2年間の象徴だった。躍進の要因になった前監督で、米ロイヤルズ・ヒルマン監督が成功させたスモール・ベースボールの申し子だった。今季は役割の違う3パターンの打順を経験。気持ちに変化が出た。

 チーム貢献が第一だが、さらに自分を高めるための脱皮を目指す。「2番は全体の動きを見ないといけない。自己犠牲ですから」。今季はチームでただ1人、144試合フルイニング出場した。3番が最多で88試合、2番が39試合、9月からは不振のひちょりに代わり17試合で1番に抜てきされた。打率3割4厘と及第点だが「出塁率、盗塁をもっと増やしたい」と早くも自覚十分だった。

 この日は特に安定した守備を高評価、攻守にフル稼働したことが認められ大幅アップで、年俸1億円の大台に初到達。「今年は負けてみて初めて優勝っていいな、と思った」。2番定着で他球団も警戒していた名コンビ解散での逆襲のため、2年連続で低迷している打線のかじ取り役に立候補した。選手会長就任などの肩書、年俸と増えるばかりのオフだが、打順は1つ減らしたい。【高山通史】