西武中島裕之内野手(28)が、今日7日に行う契約更改交渉で、初めて代理人が同席して「ポスティング交渉」を行うことが6日、分かった。球団側に申し入れがあったという。来季の残留こそ表明したが、今オフに実現できなかったポスティングシステム(入札制度)によるメジャー移籍容認を求め、来年オフの“確約”を取り付けるまで粘り強く交渉するとみられる。

 断腸の思いで今オフの夢をあきらめた中島が、初めて代理人を立てて交渉に臨む。今シーズン終了後、入札制度による米移籍希望を公の場で初めて表明。球団には昨年オフの契約更改から訴え続けてきたが、了承を得られずに断念した。しかし、来年オフの移籍容認を目指し、今日7日に代理人同席で第1回交渉のテーブルに着く。

 水面下で継続してきた球団との交渉で、行き違いの多さがきっかけになった。特に球団幹部の移籍容認とも受け取れる言葉を信じ「今年いかせてもらえるものだとばかり思っていた」だけに、大きな失望感を味わった。自分にも言葉足らずな部分があったこと、また交わしたはずの“口約束”がほごにされた反省を踏まえ、交渉のプロである弁護士に任せるのが最善と判断しての行動だった。

 交渉は金額面より、来年オフの移籍容認を求める話し合いが争点になる。海外FA権取得には、あと2年かかる。1年でも早くメジャー挑戦したいという思いに変わりはない。来年オフの確約、もしくはチームや個人の成績でクリアする条件を求めていくことが予想される。球団関係者は「書面化したり、何らかの形で約束を取り付けたいと考えている」と話しており、今オフのように妥協は許さない姿勢でいる。

 西武はこれまで入札制度には理解があり、06年には松坂のレッドソックス移籍を認めるなど、選手を米国に送り出してきた。しかし今回の中島に関しては強く慰留した。入札制度は球団に支払われる入札金がメリットだが、米球界で日本人内野手の評価は低く、以前のような高額入札は望めない。ビジネス的に利益になるか未知数な部分があり、チームの顔として人気と実力を兼ね備える中島の流出には慎重になった。

 中島も来季については球団と話し合って納得し、気持ちを切り替えている。しかし、今オフはWBCでともに戦った楽天岩隈、ロッテ西岡が入札制度を利用する姿を複雑な思いで見ることしかできなかった。来季のモチベーションを高めるためにも、代理人交渉で熱い思いを球団にぶつける覚悟だ。