史上最大2億円の大減俸を、来季の復活につなげる!

 ソフトバンク松中信彦外野手(37)が28日、福岡市内の球団事務所で契約更改交渉を行い、年俸4億円から2億円減となる2億円で更改した。野球協約の減額制限(1億円を超える場合は40%以内)を大きく超える50%の大幅ダウン。同一球団での減俸として球界でも過去最大の減額となったが、松中は現実を受けとめ来季の巻き返しを熱く誓った。

 史上最大の屈辱を、松中は真正面から受けとめた。球団から提示されたのは、野球協約が定める減額制限(40%)を大きく超える50%ダウン。自身への怒りやもどかしさをグッとかみしめると、すぐに来季のリベンジに気持ちを切り替えた。

 「悔しいのひと言です。でもプロなんで、結果がすべて。やってない時は落ちる。全部は取り返せないけど、来年やれば取り戻せる。それをモチベーションにやっていく」

 3冠王にまで登り詰めた男にとって、あまりに不本意なシーズンだった。昨オフの右膝半月板手術の影響で、春季キャンプではまともにバットを振れず、13年ぶりの開幕2軍。オフの絶対的な振り込み不足に、焦りも加わり、本来の打撃を取り戻せない悪循環が続いた。2度の2軍調整も経験。9月の西武3連戦で2試合連発を放ち奇跡の大逆転Vへの立役者となったが、悔しさだけが残った。

 「何回か優勝もしたけど、こんだけ悔しい思いをしての優勝はない。開幕スタメンを約束して(09年)CSを辞退したのに果たせなかった。チームに迷惑をかけたことも謝った」

 想像を絶する悔しさをバネとし、一から出直す。今オフはFAで内川と細川を補強。カブレラの入団も確実で、チーム内の競争はさらに激化する。これまではシーズン開幕に照準を合わせてきたが、来季はオープン戦初戦に前倒し。すでにグアムで1次自主トレを行い徹底的に走り込んだ。

 「キャンプ、オープン戦で競争に勝たないといけない。補強はチームが勝つためにすること。(競争に)勝てば試合に出られるわけだから。1月から打ち始める。開幕スタメンを勝ち取りたい」

 26日に37歳の誕生日を迎えた。尊敬する恩師の王会長は37歳のシーズンに50本塁打を記録した。

 「目標の数字?

 今の自分の立場じゃ、ない。とにかく試合に出たい」

 昨年も1億円の減俸を飲み、2年で3億円ダウン。平成唯一の3冠王だからこそ天から与えられた試練だ。

 「球団からは(3冠王を)もう1回見たいと言っていただいた」

 悔しい思いの分だけ、反発の力は大きくなる。栄光と挫折を積み重ねた松中の野球人生。勝負の15年目を迎える。【倉成孝史】