日本ハム・ダルビッシュ有投手(24)が球界史上最年少&最速で、夢の大台に到達した。6日、札幌市内の球団事務所で代理人を伴って契約更改交渉を行い、1年契約の年俸5億円(推定)でサインした。昨季まで結んでいた3年契約に付帯されていた出来高払いをなくしたこともあり、1億7000万円の大幅増。プロ入り7年目、25歳シーズンでの年俸5億円は初で、今季の球界では現時点で日本人選手トップに躍り出た。今オフのメジャー移籍の可能性も否定せず、動向が注目される1年が幕を開けた。

 5億円という単純明快な数字で、7年目がスタートした。ダルビッシュが、自己評価が凝縮された重みある金額をクールに受け入れた。代理人の布施裕弁護士を伴っての交渉は、球団側と事前に話し合いを済ませていたこともあり、約30分で終えた。「評価をしていただいて、うれしかった。でもやることは一緒。感情が変わることはない」。チームは4位に終わり、稲葉が5000万円、武田久が4000万円、金子誠が3000万円と軒並みダウンする中、異例の大幅アップとなった。

 不退転の決意が、土台となっている。公にはしなかったが、08年から10年まで3年の複数年契約を結んでいた。基本年俸3年8億円プラス出来高。今回はオフをにらんでの1年契約のため、ダルビッシュは「単純にベースがあった方がいい」と希望。当初は出来高払い付きの条件を用意していた球団側が、その意向をくんだ形となった。

 過去3年間は、出来高払いをほぼクリアして満額に近い額をゲットしてきた。今回は年俸だけ見れば1億7000万円アップだが事実上は、数千万単位の増額とみられる。島田球団代表は「日本を代表する選手。成績も出している」と評価したが、増額については「それほど上がっていない」と説明した。出来高払いではシーズン終盤になるにつれ、クリアできるか否かで、登板回数、三振数など特化した報酬にかかわる成績の項目へ、目が向く選手も多い。今回、出来高を取り払ったのは、そんな雑念を振り払い、チームの勝利に集中する狙いもあったようだ。

 5億円に見合う働きをする準備も順調だ。体重増に取り組み、現在は就寝時に100キロ超。筋肉量を増やすことが狙いで、2月1日のキャンプには約2キロ、脂肪をそぎ落としたボディーで突入するプランを進行中。昨季は4年連続の防御率1点台の1・78で2年連続、ほか最多奪三振のタイトルも獲得したが、白星は5年連続2ケタ勝利も12勝(8敗)と伸び悩んだ。「体を強くして1球、1球、力強い球を投げる。直球が力強くなれば、変化球もそうなる」と進化の確信も得ている。

 公私に激動のオフに、これで一区切りがついた。海外FA権の取得は順調にいっても14年オフ。ポスティングシステムを利用してのメジャー挑戦が取りざたされたが、完全決着。今オフの移籍の可能性を問われると「う~ん…、ノーコメントです」と、うなりながら含み笑い。1年契約ということからも、可能性は十分にありそうだ。5億円右腕への注目度は増す一方だ。【高山通史】