オーストラリアとの壮行試合が行われる大阪へ移動した侍ジャパンの主将・阿部慎之助捕手(33)のもとに、沖縄にいる巨人のチームメートからライバル国の重要情報が届けられた。巨人の新外国人ホセ・ロペス内野手(29)が22日、日本がWBC開幕戦で顔を合わせるブラジル代表のパウロ・オーランド外野手(27)が「驚異の足」を持つ秘密兵器であることを明かした。ベネズエラのウインターリーグで同じチームでプレーしたといい「とても足が速い。とにかく速いんだ」と、捕手として直接対決することになる阿部に警戒を促した。

 謎のベールに包まれたブラジル代表の内部情報を知る男が、思わぬところにいた。巨人キャンプ休養日のこの日、那覇市内の第1牧志公設市場を見学したロペスが、オーランドについて熱く語り始めた。「陸上選手だから、走力にたけている。松本、藤村より、もっと速いよ。彼らより背が高くて、ストライドが大きいからね。ウインターリーグでの打率は3割を超えていたから、打撃もいいよ」。相手を足でかく乱するブラジル代表のキーマンを「止める方法は?」の問いには「ない」と即答。「どのチームも彼を止められなかった」と、侍ジャパンにとっても脅威になると予想した。

 関係者を通じてこの話を伝え聞いた阿部は「本当ですか!?

 貴重な情報、ありがたいですね」と、笑顔で感謝。自慢の肩をグルグル回しながら「走られないように、気を付けます」と、表情を引き締めた。「データがない中で瞬間に観察してやらなければならない大会」とWBCの難しさを口にする主将を、ロペスの助言が勇気づけた。【広瀬雷太】

 ◆パウロ・オーランド

 85年11月1日、ブラジル・サンパウロ生まれ。高校時代まで短距離の同国代表として活躍。俊足がスカウトの目に留まり、05年にテスト入団でホワイトソックスと契約。08年途中からロイヤルズ傘下でプレー。同年にはリーグ5位の29盗塁を記録し、昨季は2Aで116試合に出場し21盗塁をマークした。07、08年に老舗専門誌ベースボール・アメリカで「ホ軍傘下の最速選手」と紹介された。国際陸上競技連盟の公式ホームページの選手名鑑によれば、04年4月(18歳時)の大会で200メートル21秒10、400メートルで46秒58を記録。188センチ、95キロ。右投げ右打ち。