侍ジャパンの巨人坂本勇人内野手(28)が韓国キラーぶりを発揮した。19日、WBC韓国代表との練習試合に「3番遊撃」で出場。1点リードの6回に勝負を決定づける2点適時二塁打を放った。昨季12勝を挙げた左腕、車雨燦からの一打は今季初の長打でもあった。15年のプレミア12でも韓国と2試合を戦い6打数2安打3打点、1本塁打と相性がいい。ライバルとの戦いで、大きなカギを握る存在になりそうだ。

 打球が左翼で勢いよく弾んだ。1点リードの6回1死二、三塁。坂本勇が韓国代表・車雨燦に間を合わせた。1ボールからの2球目、内寄りに入ってきたスライダーを引きつけ、バットをぶん回した。「ファーストストライクの変化球にタイミングよく反応ができた。タイムリーが打てたし、結果として良かった」。悠々と二塁まで到達する2点適時二塁打でライバル国に打棒を誇示した。

 結果とは裏腹に、坂本勇の感覚は好調のシグナルには至っていない。6回の守備を終えてベンチに退くと、その足で室内練習場に直行して打ち込みを敢行した。「時間を有効に使いたかった。もう全然、時間がない。(現状は)あまり感覚が良くないというのが正直な気持ち。焦りながら焦りすぎずにやっていきたい」と胸中を明かした。

 韓国戦は相性がいい。15年11月のプレミア12での韓国戦は6打数2安打3打点1本塁打という好成績を残している。この日、適時打した車雨燦は前回大会のWBCでも中継ぎとして出場経験を持つ。韓国では15年に194奪三振で最多奪三振のタイトルも取っている実力派。調整試合とはいえ、本戦を前に代表常連左腕を沈めた一打の価値は大きい。「結果が出たということを自信にしたい」と上げ潮へのきっかけにする。

 2大会連続2度目の出場となるWBCの重みは十分に分かっている。自身も日本代表の経験を持つ高橋監督は、前日18日の居残り特打後に坂本勇に声をかけたという。「『大きな大会だから不安なのは分かるよ』と声をかけた。でも、もともと考えている選手だから任せている」と信頼を寄せる。侍ジャパンの集合日までに残された実戦は22日楽天戦のみとなった。「相手よりも自分のスイング。まずは自分の形でしっかりと打つことが大事」と坂本勇。己を信じて大舞台へと進む。【為田聡史】