侍ジャパン中田翔内野手(27)が4番に負けじと、2戦連発だ。WBCの1次ラウンド最終戦の中国戦。3回2死一塁から、2号2ランを左翼席へ放った。前日9日に1位通過を決めていたチームに、花を添えるような1発。明日12日に始まる2次ラウンドへ、弾みを付けた。

 また、一振りで仕留めた。中田が、頼もしく試合の流れを引き戻した。2点リードの3回2死一塁。1ボールからの2球目。真ん中付近の直球をとらえ、左翼席へ運んだ。2試合連発となる2号2ラン。4番筒香の凡退をフォローし、中国に1点を返された不穏な空気も一掃した。「(感触は)あまり良くなかったけど、みなさんの声援のおかげで(スタンドまで)行ってくれたと思う」。

 お立ち台で感謝した4万53人の大観衆の中に、最愛の家族もいた。7日のキューバ戦から、母香織さん(53)や妻と2人の娘が球場で応援。「疲れを取ることを最優先しました」という前日9日の休日は、迷わず家族サービスに努めた。午後から東京・お台場にある「レゴランド・ディスカバリー・センター東京」へ足を向けた。愛する2人の娘からのリクエストだった。

 普段から「娘と過ごす時間が、一番癒やされる」と話す。一緒にブランコに乗るなどアトラクションを楽しみ、無邪気な笑顔を見て激戦の疲れも吹っ飛んだ。この日も一塁側内野スタンドから声援を送る家族の前で、かっこいいパパの姿を見せた。所用で今日11日から一時的に東京を離れるという2人の娘に贈る、最高のプレゼントにもなった。

 1次ラウンドは3試合で8打数2安打も、ヒットは全て本塁打。「まだ絶好調ではないけど、自分のスイングが出来ている。いい意味で割り切れている」と、良いイメージを持って1次ラウンドを終えた。痛めていた左手首も良化し、フルスイングに力強さも戻ってきた。小久保監督は「順位が決定している中で最後まで真剣勝負でやってくれた」と賛辞を送ったが、中田は「1試合でも落としてもいい試合はないと思っている」。難敵が待つ明日12日からの2次ラウンドへ、心身ともに暴れる準備は万全だ。【木下大輔】