元世界3階級制覇の亀田興毅(28)が、10月16日に米シカゴでWBA世界スーパーフライ級王者河野洋平(34)に挑戦する。亀田はライトフライ級、フライ級、バンタム級と3本のベルトを持っており、河野に勝てば、日本初の4階級制覇になる。試合を前に記者が興味を持っているのは、亀田がどんなファイトスタイルで戦うか、だ。

 初めて亀田を見たのは14年前の01年。まだプロデビュー前の中学生だった。元世界2階級制覇の井岡弘樹とエキシビションでスパーリングを行った。当時所属していたグリーンツダジムの未来を担う逸材が、先輩の「レジェンド」と拳を交える趣旨だったと思う。あくまで「ファンへの顔見せ」という催し物だった。

 だがスパーリングはエキシビションとは思えない激しい内容だった。左構えの亀田は、ものすごい勢いで井岡に突進。そして全力でパンチを繰り出した。井岡にいなされても手数を出し続けて、左ストレートが際どい角度でヒットしたシーンもあった。特に目を見張ったのはスピードだった。

 その亀田も11月に29歳の誕生日を迎える。階級を上げたことでベルトを得たが、体が大きくなった分、特長だったスピードをあまり活用しなくなった。

 8月31日には河野の会見に乱入。「今のうちにしっかりベルト眺めて、ちゃんと練習しといてください」と「亀田節」もさく裂させている。今回の試合は、バンタム級から1階級落としたスーパーフライ級だ。あのスピードあふれる左ストレートが復活するのか、興味を持っている。【益田一弘】