ランドセルを児童養護施設や学校に贈る「タイガーマスク運動」の先駆けとなった「伊達直人」こと群馬県前橋市在住の河村正剛(まさたけ)氏(43=会社員)が7日、東京・後楽園ホールで行われた初代タイガーマスク佐山聡のプロレス団体、リアルジャパンプロレスのイベント「初代タイガーマスク35周年記念大会」に参加し、リング上で素顔を公表した。

 リング上で子供たちの支援を続ける熱い思いを訴えた後、大量の報道陣が待つ控室で取材を受けた。

 -なぜ伊達直人を名乗ろうと思ったのか

 河村氏 僕の中でタイガーマスクというのは、佐山さんなんですね。僕が小学生の時のイメージは、鮮烈でした。タイガーマスクという漫画、アニメがあるというのは承知していました。タイガーマスクの内容を詳しく知ったのは、成人してから。そのストーリーの中で、僕は共鳴、共感したので、6年前のランドセルの時には、自然と伊達直人を添えるというのが頭にありました。

 -佐山さんとの出会いは

 河村氏 タイガーマスク運動が起こり、佐山さんが基金を立ち上げられるというのをネットで知りました。基金の事務局に連絡し、(東京の)神楽坂道場でお会いさせていただいた。僕が一番心にあったのが、「タイガーマスクがタイガーマスク運動を始めたよ」となると、「タイガーマスクが来てるんじゃないよ」と批判されるんじゃないかと思っていた。でも佐山さんは、笑っていた。「良いことをするんだから、二番煎じでも三番煎じでもいいじゃないか。良いことをするのに、何番手もないだろ」と言ってくれて。その時に佐山さんの思いは本物だと思って、僕が基金に参加しました。

 -タイガーマスク運動が広がっていくことには、どんな思いだったか

 河村氏 とてもありがたく、それまで児童養護施設や児童相談所では、社会的養護というのが世の中に周知されていなかった。運動で周知されるようになった。それが僕の中で一番うれしかった。現金の方がいいんじゃないかとか、批判も耳にしましたが、広がりを見せたことにはありがたかった。世の中には優しい方々もたくさんいるなと思いました。

 -今後の活動は

 河村氏 ランドセルを置き去りにして、帰って行くという活動を復活させたいとは思っていません。世の中が、社会的養護を再認識していただければいいなと。僕が公に出たことによって、「皆さんランドセル配りましょうね」となってほしいとは思っていません。タイガーマスク運動はランドセルのイメージが強いですが、一番子供たちにとって大切なのは、卒業した後。自立していかないといけない。そこが大事。そこをもっと確認していただきたい。行政も含めて、支援活動を大きくしていきたい。