<プロボクシング:WBA世界ライト級タイトルマッチ12回戦>◇19日◇東京・ディファ有明◇観衆1700人

 日本王者6人、東洋王者3人を輩出した名伯楽、田中栄民トレーナー(53)が初の世界王者を育てた。勝利の後、愛弟子から「勝っちまいました」と報告を受けると「やったなあ」とリング上で抱き合った。

 入門時に「こいつ、ぐーたらだが、磨けば光る」と素質を見抜き、一時は自宅に住まわせたこともある。現在も自宅そばに住まわせ、毎朝食事を作って食べさせた。元プロボクサーだったが、交通事故による網膜剥離(はくり)で引退。20歳からトレーナーを務め、世界の夢を教え子に託してきた。「でも泣けませんでしたね。まだ先がありますんで」。トレーナーとしてのゴールはまだ先だ。