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 2008>◇7日◇日本武道館◇ミドル級トーナメント準々決勝

 佐藤嘉洋(27=フルキャスト)が3回1分50秒、ブアカーオ・ポー.プラムック(26=タイ)を右ストレートでマットに沈め、初の4強に進出した。相手は04年と06年の世界王者で、K-1では過去に1度もKO負けをしたことがない強豪。そんな難敵を堂々の打ち合いで葬り去った。これで10月1日の準決勝(日本武道館)では、魔裟斗(29=シルバーウルフ)との日本人頂上決戦が実現する。

 目の覚めるようなKO勝利だった。3回1分50秒、佐藤の長いリーチから放たれた右ストレートに、ブアカーオはガックリとひざを折り、前のめりに倒れる。K-1ではもちろん「過去に1度もKO負けしたことがない」と豪語する絶対王者。今回が3度目の対戦で、06年の初対戦では2回18秒で敗れていた。魔裟斗ですら倒せなかった強豪をマットに沈め、詰め掛けたファンは総立ちとなった。佐藤が、自身初の4強入りとなる大金星を挙げた。

 佐藤は06、07年と「MAX日本代表決定トーナメント」を連覇。実力的には日本屈指のファイターだったが、同じ階級にいる第一人者の魔裟斗と常に比較されて「日本NO・2」と呼ばれ続けた。「もう2番はたくさんだった」。184センチ、70キロというスリムな体格に少しでもパワーを付けるべく、昨年10月からはウエートトレーニングを開始。「上半身のパワーが付いてきているのが分かった」。その言葉通り、右腕だけで相手を葬り去った。

 昨年12月に妻真理子さんとの結婚を発表。「彼女はあまり格闘技がよく分からないみたいで」と照れ笑いするが、伴侶を得たことで「充実した生活が送れています」。実業家で日本の高額納税者トップ10にも入る斎藤一人氏の影響を受けて「やれる、ついていると思うと本当にそうなってくるんです」。食事をおごられた、偶然友達に会ったという、ささいことでも「ついている」と思い、自己暗示をかけ続けた。

 初の世界王者をかけ、10月1日には「NO・1」魔裟斗と準決勝で初対戦する。谷川貞治イベントプロデューサーからも「みんな魔裟斗選手が有利と思うかもしれないが、僕は五分だと思う」と期待を寄せられた。悲願の「NO・1」へ、佐藤が大きな1歩を踏み出した。【山田大介】