WBAスーパーライト級15位の木村登勇(30=横浜光)がボクシング版「エア・ケイ」で16年ぶりの日本人海外王座奪取を狙う。13日(日本時間14日)の同級王者コテルニク(ウクライナ)戦に向け1日、横浜市内でスパーリングを公開。必殺のジャンピングアッパーを披露した。

 1度下がって、油断させたその瞬間だった。木村は走って相手の懐に飛び込みながら右アッパーをさく裂させた。スパー相手で3階級上の日本ミドル級2位鈴木は「目の前から急に消えた。左右どちらで打たれたかも分からない。ヘッドギアがなければ倒れていた」と震え上がった。

 世界4位を撃破したテニスの錦織の武器は、ジャンプして空中で振り抜くフォア。米国では「エア・ケイ」のニックネームをつけられたが、木村(KIMURA)の飛び道具は、まさにボクシング版「エア・ケイ」。もともと変幻自在なスタイルでファンからは「木村術」ともいわれる。

 92年4月、平仲明信がメキシコで世界王座を獲得して以来、日本人は海外の世界挑戦で19連敗中。地元判定を防ぐ意味でもKO決着は欠かせない。「あのアッパーを、思い切り豪快に当てますよ」。錦織に続き「エア・ケイ」で大金星をつかむ。【田口潤】