全日本の雷陣明(30)が13日の東京大会(後楽園ホール)での試合中に意識不明となり、救急車で都内の病院に搬送された。3冠王者・諏訪魔とのシングルマッチの開始5分すぎに、張り手を浴びてリングに倒れ、直後に受けた頭部へのキックで意識を失った。リング上で約10分間も意識が戻らず、そのまま担架で救急車に運ばれた。

 一時は硬膜下血腫の疑いもあったが、病院に搬送された約2時間後に意識を取り戻した。精密検査の結果、心配された脳内出血もなく、強度の脳振とうと診断された。ただ今後も検査が必要なため1、2日入院する。今シリーズ出場は絶望となった。

 試合後は武藤敬司社長、小島聡ら選手たちが続々と病院に駆け付けた。付き添った内田雅之取締役は「話もできました。勝敗がわからず、本人はもう1度諏訪魔とやりたいと話している」と説明。救急車に同乗した諏訪魔は、雷陣の意識が戻った瞬間、涙を流して喜んだという。

 雷陣は来月、米TNA参戦が決まっているが、全日本側は今後の定期検査の結果を判断して参戦か見送りかの判断を下す。TNA参戦に弾みをつける同期諏訪魔との壮行試合が、思わぬ事態となってしまった。【塩谷正人】