16日に米総合格闘技団体UFC入りを表明した北京五輪柔道100キロ超級金メダリスト石井慧(21=国士舘大4年)が、英会話の勉強なしで米国に乗り込む。スポーツ選手が海外に進出する際、語学習得が成功の秘訣(ひけつ)とされているが、石井は「格闘家は肌を合わせれば言葉はいらない」と強気だ。また大みそか開催の「Dynamite!!」(さいたまスーパーアリーナ)は観戦せず、初詣でのために山に入ることも判明。日本格闘技界に未練を残さず、新天地へ飛び込むつもりだ。

 「60億分の1」を目指して米国に乗り込む石井に、英語は必要ない。UFC参戦表明から一夜明けたこの日、石井は「英語の勉強?

 そんなことするわけないでしょ。ぶっつけ本番で行きます」と一笑に付した。語学の準備は一切せず、裸一貫で飛び込む決意だ。

 前日、石井はUFCについて「野球でいえばメジャーリーグ」と話した。チーム競技ということもあり、大リーグに挑戦する日本人選手に語学力は不可欠。個人競技のゴルフでさえ、米ツアーに参戦するプロは英語を学ぶ努力をする。だが石井は国際舞台百戦錬磨の柔道家時代から「格闘家なら肌を合わせれば分かり合える」が信念。マネジャーの谷前信治氏も「英会話はあいさつができる程度。筋肉があれば何でもできるって感じで、ボディーランゲージ主流です」。以前に韓国に行った時も「何を言っているのか分かった」と言い、言葉の壁は感じたことがなかったという。

 現時点では来年3月をメドに渡米し、UFCに多くのファイターを輩出している「アメリカン・トップチーム」というジムで武者修行を予定。同マネジャーは「適応できるんじゃないですか」と心配していない。

 また当初は大みそか開催の「Dynamite!!」の観戦も視野に入れていたが、この日は来場の可能性を完全に打ち消した。「大みそかは初詣でのために山に入る」というのが理由。石井は以前から「僕の場合の初詣では、一大イベントなんです」とも話していた。大みそかは大自然の中で激動の1年を振り返り、新年への、新天地への誓いを立てることになる。【山田大介】