吉田秀彦(39=吉田道場)が「脱・柔道家ファイト」で元柔道家対決に挑む。来年1月4日の「戦極の乱2009」で菊田早苗(37)と対戦、柔道着を着ずに試合に臨むことを、27日に都内で行われた公開練習で明かした。同じ柔道出身で、道着さばきを熟知する相手にツケ入られまいと、総合格闘技スタイルでの戦いを宣言。吉田が柔道着を着ずに戦うのは、05年大みそか「PRIDE」の小川直也戦以来、約3年ぶりとなる。

 まさに即答だった。「今回は道着は…」という質問をさえぎるようにして、吉田が力強く言い切った。「着ないよ」。菊田戦は柔道出身者同士で注目されるが、リング上で柔道をするつもりはない。その決意の表れだった。

 畳の上での菊田を知るからこその判断だ。柔道で対戦したことはないが、襟や袖を器用に使われ、寝技に持ち込まれたときの怖さは、見ただけで分かる。しかも菊田は01年、「寝技世界一決定戦」といわれるアブダビ・コンバットを日本人として初めて制したほどの寝技の達人。「菊田の柔道でのレベルを知ってるから。(道着を)着てやると厳しい。グラウンドがしつこいから、いかに相手パターンにしないようにするかだ」。道着を着ずにリングに上がるのは、05年大みそかの小川戦以来。総合に転身してから2度目ということが、覚悟の強さをうかがわせる。

 「脱・柔道」は道着だけではない。練習では打撃、寝技を半々に取り入れている。この日の公開練習では、立ち技への対応をアピールするかのように、強弱織り交ぜたミット打ちに精を出した。「打撃の練習はやっているけど、試合ではなぜか出せない。やってみないと分からないよ」。あとは総合格闘家の本能が目覚めるのを、静かに待つ。

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 はっはっは」と、リップサービスも飛び出した。06年7月から総合格闘技で3連敗を喫しながら、6月のスミス戦に勝って健在をアピールした。来年で40歳になる、いわゆる「アラフォー」世代。「(年齢によって)本能的なものは変わらない」という吉田が、リングの上でその言葉を証明する。【森本隆】