31日開催の「Dynamite!!」(さいたまスーパーアリーナ)に参戦するミルコ・クロコップ(34=クロアチア)が、年明けにひざの手術を行うことが30日、明らかになった。前十字靱帯(じんたい)の再建手術で、術後の経過によっては選手生命にかかわる可能性もある。同大会は魔裟斗、山本“KID”徳郁、秋山成勲らが欠場。主力選手の欠場を気にかけたミルコは、けがをおして崔洪万(28=韓国)の挑戦を受ける。この日、出場選手たちは都内で前日会見に臨んだ。

 K-1、PRIDE、UFC、そしてDREAMと世界の格闘技界で戦ってきたミルコが、引退の危機にさらされた。ミルコに近しい関係者が「年明けの正月3日にひざ前十字靱帯の再建手術を受ける」と明かした。左右のどちらなのかは「格闘家として将来にかかわる」として不明だが、過去にも気にするそぶりを見せていたことから右ひざである可能性が高い。

 手術について、ミルコの全権代理人を務める今井賢一氏(44)は「試合前なので何もコメントできない」と言うにとどまったが、スイスの病院で初めて体にメスを入れる見込みだ。手術を担当するのはサッカーの元イタリア代表バッジオやブラジル代表ロナウドらの執刀も手がけた名医で「100%治る見込み」と太鼓判を押している。ただし、全治は約半年程度の見込みで、術後の経過によってはそのまま引退に追い込まれる可能性も出てきた。

 ミルコは今年3月のDREAM旗揚げ戦から同団体に参戦。6月と7月の大会にも出場予定だったが「打撃練習のしすぎでひじを痛めた」などを理由に欠場。実際にはPRIDE時代から前十字靱帯を部分断裂しており、だましだましで参戦していたようだ。06年には医師から「手術しないとダメになる」と勧告されたともいい、今年7月には靱帯を損傷したことで半月板まで欠けてしまい、その破片を取り除くための内視鏡手術も受けたという。

 今年のDynamite!!は魔裟斗ら団体の主力選手が相次いで欠場を発表。ミルコも試合ができるような状態ではなかったが、主催者側からの説得に「日本のファンのために」と出場を決意した。対戦相手は、脳腫瘍(しゅよう)手術から復帰初白星を目指す崔洪万。この日の会見では「彼ほど大きさのある選手がいないので、スパーリング相手探しに苦労した。友人のバスケットボール選手に頼んだ」と余裕を見せたが、試合内容によっては日本で見られる最後の勇姿となるかもしれない。