<新日本:G1クライマックス>◇7日目◇14日◇東京・両国国技館◇観衆6500人

 Bブロックの中邑真輔(30)が、小島聡(39)との因縁対決を制し、勝ち点8で首位グループに並んだ。小島のラリアットをかわし、最後は16分45秒、ボマイェ(走り込んでひざ蹴り)でフィニッシュ。引き分けに終わった05年3月の小島のIWGP王座挑戦から、6年越しで勝利を収めた。これで永田、中西ら強豪が集う第3世代の最後の壁を突破。悲願のG1初制覇へはずみを付けた。

 5年間の成長の証しを、中邑はひざに込めた。右ナックルパートで小島にひざを付かせると、顔面に狙いを定めた。勢いを付けながら、右ひざを一撃。鈍い音とともに、崩れ落ちる小島を抑え込んだ。髪をかき乱しながら、両国の高い天井を見上げた。眺めは5年前と同じでも、気分は正反対。「始まる前から、ここ(小島戦)だけはマークしていたよ。ここだけは」。不敵に笑いながら、してやったりの表情を浮かべた。

 6年越しの苦悩を、力にした。05年3月、小島のIWGP王座に自ら挑戦表明しながら、60分時間切れ引き分け。人目をはばからず泣いた。「あのときのことは忘れちゃいねえ」。5年の時を経て、悔しさは恨みに変わった。新日本、全日本、そしてフリーと立場を変える小島に、「八方美人でヘドが出る。抹殺したい」とまで言い、敵対心をあらわにした。

 大谷、天山、永田、中西と、新日本の主要な第3世代を破ってきた。先輩世代の最後の壁を突き崩し、2連敗から4連勝。今大会初めて、Bブロックの首位タイに浮上した。「明日、2つ勝てば優勝だろう?」。1度も掲げたことのないG1優勝トロフィーが、ついに視界に入った。【森本隆】