<SRC15>◇30日◇東京・両国国技館

 04年アテネ五輪柔道男子90キロ級銀メダルの総合格闘家・泉浩(28=プレシオス)が過去最強の敵を下し、3連勝を飾った。米総合格闘技UFCへの参戦経験もある強敵ジェームス・ジキック(33=英国)とメーンで激突。過去最高の実績と実力を誇る対戦相手の左ジャブを中心とした打撃に苦しんだが、最終3回、強引にテークダウンを奪って拳を振り下ろしてダメージを与え、2-1の判定勝ちにつなげた。試合後には年末興行への出撃を表明し、対戦相手に石井慧(23=アイダッシュ)を指名した。

 身長15センチ差を埋めるため、泉が長身ジキックとの距離を縮めた。いきなり1回には相手パンチで右目上をカット。視界が遮られ、リーチの長い敵の左ジャブを浴びた。悪条件が続く展開にも「心が折れないように、集中だけは切らさず『ここ』と思った時だけの集中を考えていた」(泉)。3回、右足を奪ってテークダウンを奪取。相手顔面に何度も拳を振り下ろした。2-1の小差判定勝ちだったが「3回のパウンドで取ったかなと思った」と傷だらけの顔で笑った。

 試合後、リング上で年末興行での対戦相手をマイクアピールした。「ぜひ石井とやってみたい」。現在の石井はDREAMやK-1が主戦場。SRCは12月30日の年末興行「戦極・ソウル・オブ・ファイト」開催を正式発表したが、DREAM勢は12月31日のDynamite!!(さいたまスーパーアリーナ)への出場が既定路線。ただしSRC向井社長は「こちらに石井選手が出ることはないが(DREAMとの)交流はあるので可能性がないわけではない」と実現に向けて検討する姿勢も示した。

 一方で泉は7月に表明したレスリングでのロンドン五輪出場に向け、本格的に動きだす。10月20~21日の全日本社会人オープン選手権にもエントリー済み。ジキック戦で右目上カットや体中に打撲などの痛みがあるが「レスリングは出るつもり」とキッパリと宣言。有言実行で五輪出場も目指す気持ちに変わりはない。

 自分が格闘技界を盛り上げたい-。レスリングでの五輪出場や石井戦熱望は、そんな泉の強い願いが込められている。

 泉

 格闘技全体を盛り上げていくためにも、そういう(石井との)対戦カードがあったら面白いかなって思います。すげえやりたいとか、あいつむかつくからやりたいじゃない。(ファンの)みなさんも盛り上がってくれるかなと。

 昨年9月の総合格闘技転向から1年が経過。泉の精力的なアピールが、柔道時代の後輩となる石井に伝わるか。年末に向け、注目が集まる。【藤中栄二】