<プロボクシング:村田諒太プロデビュー戦>◇25日◇東京・有明コロシアム◇4500人

 世界の超大物プロモーターが金メダリストの実力を認めた。米プロモート最大手のトップランク社のボブ・アラムCEO(81)は、ロンドン五輪男子ミドル級金メダルの村田諒太(27=三迫)のプロデビュー戦をリングサイドで観戦。衝撃のKO劇に「新しい大スターの誕生の瞬間を見た!」と大興奮した。デビュー3戦目までは国内で試合の予定だったが、1戦前倒しを確定。来年2月予定のプロ3戦目はシンガポール開催のプランを示した。

 聖地ラスベガスで数々のビッグマッチをプロモートした大物プロデューサーも、興奮を隠せなかった。金メダリストのパワーと技術に試合中、アラム氏は「Great

 Great.He

 is

 Superstar」と褒めちぎった。そばにいた帝拳ジムの本田会長は「マスコミではなく、オレに言ってたからリップサービスじゃないよ」と本音だったことを強調した。

 米プロモート最大手トップランク社のアラム氏。81歳の名伯楽は過去に、92年バルセロナ五輪ライト級金メダリストで世界6階級制覇王者のデラホーヤをキャリア中期までプロモート。最近は同じく世界6階級制覇王者パッキャオのマッチメークを仕切った。そんな大物は試合後、真っ赤な顔で「ただの世界王者ではない。最高のボクシングのスターになる。日本だけでなく、世界中の大スターになる可能性がある」。

 村田が4月にプロ転向すると、すぐ調査に入った。金メダルを獲得したロンドン五輪の映像などを分析し「とても特別な才能がある」と確信し、6月には契約を締結した。「今夜のパフォーマンスで、その才能を証明してくれた」と、見込み以上のファイトに感動すら覚えた。

 プロデビュー戦で現役東洋太平洋王者を圧倒したことで、今後のプランも変更される。当初はデビュー3戦目までは国内開催を予定していたが、アラム氏は来年2月のプロ3戦目にトップランク社のアジア戦略の拠点シンガポールでの開催を示唆した。その場所は、観光名所でもある超豪華ホテルのマリーナベイサンズ。「村田はメーンイベントで登場する」と続けた。

 「新しい大スター誕生の瞬間を見たかった。だから日本まで来たんだ」。アラム氏から最大級の評価を得たことで、夢の米ラスベガス進出にも弾みがついた。早ければ来夏にも、村田は本場の大舞台で大歓声を浴びながらリングに立つ。【田口潤】