プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(31=大橋)が東京ドーム防衛戦から一夜明けた7日、横浜市内の所属ジムで会見を行い、衝撃の“初回プロ初ダウン”を詳細に説明した。

WBC同級1位ルイス・ネリ(29=メキシコ)に6回TKO勝ちで防衛に成功したが、初回に左フックを顔面に浴び、体を回転させながらダウンを喫した。このシーンについて「自分から左アッパーを打ちに行った時に、視覚の外から入ってきて見えなかったパンチ。そこの角度調整のミス」と冷静に振り返った。

開始から様子を見るのではなく、強いパンチを振っていったのは「ネリを勢いづかせないための作戦」だった。ダウンした直後、すぐに立ち上がらなかったことについては「しっかり8カウントまでひざをついて休む。その数秒が大事。すぐ立つと足のふらつきとか残ってしまう。そのシーンを日ごろから考えるようにしていた。それがとっさに出た」と明かした。

想定外の出来事にトレーナーの父真吾氏は「びっくりよ。オレなんか大変よ」。弟拓真も「心臓とまるくらい焦った」と振り返ったが、井上はあくまで冷静だった。1回終了後のインターバルでは「どんなパンチでどんなダウンか、リングの上のモニターで見ていた」という。そして覚醒した。「大舞台で堅さもあった。気負いもあった。あのダウンでしっかりと本来の自分のボクシングが出せた。大舞台でテンションもすごく上がった」。

唯一の想定外はモンスターの“ダウンシーン”が、あらゆるSNSで再生されていること。「ダウンシーンを切り取って流れてるのでやめてほしいですね。ひらくたびにそのシーンが流れてくるから勘弁してくれと。ダウンの仕方もちょっとダサいし」と言って、集まった関係者を笑わせた。【首藤正徳】