<新日本:宮城大会>◇28日◇仙台サンプラザホール

 G1クライマックス昨年覇者の内藤哲也(32)が、宿敵オカダ・カズチカ(26)を下し、勝ち点8でBブロックの単独トップに躍り出た。1・4東京ドーム大会のIWGPヘビー級タイトルマッチで敗れた借りを返し、通算成績も3勝2敗と勝ち越した。オカダは2敗目で勝ち点6。Aブロックは優勝候補の棚橋が敗れるなど、混戦模様となった。

 時の流れを引き戻す戦いだった。このまま負けたら新日本の主役はオカダのものになってしまう。リング上で、2人の意地がぶつかり合った。体格で勝るオカダに吹き飛ばされても、内藤は全力でエルボーをオカダの顔面にたたき込んだ。

 オカダのドロップキックに耐え、裏投げから相手の側頭部へ回し蹴り。最後はスターダストプレスで粉砕。「半年ちょっとかかったけど、ドームの借りを仙台で返した。みんな期待してなかったけど、単独トップに立った。このまま西武ドームまでいきますよ」と、まくしたてた。

 オカダが米国から帰ってくるまで、棚橋、中邑らの次世代は内藤が担うと思われてきた。しかし、オカダに新日本の次世代の「顔」を奪われた。G1を先に取られ、IWGP王座も先に奪われた。ちょうど2年前、G1の仙台で右膝負傷。その間にオカダにG1初制覇を許した。ここまで対戦成績は2勝2敗。昨年G1優勝を果たしたといっても、内藤にとって、オカダとの仙台決戦は人生を左右するほどの大きな意味を持っていた。

 小学1年から中学3年まで、クラブチームで野球を続け、ずっと主将を務めた。責任感もリーダーシップもあるが、これまではそれを内に秘めてきた。しかし、今回は大会前の公開練習では初めて野球の300本ノックを取り入れた。G1のPRで西武ドームで始球式をやったオカダに対抗するためだ。オカダにライバル心をむき出しにして、結果を出した。気がついたらBブロック単独首位。史上3人目のG1連覇、そしてIWGP挑戦へ。主役になるための戦いは続く。【桝田朗】