<全日本:後楽園大会>◇16日◇東京・後楽園ホール

 前3冠ヘビー級王者曙(45)が、118日ぶりの復活を果たした。秋山準と組んだタッグマッチで、現3冠ヘビー級王者ジョー・ドーリング組と対戦。不整脈などで約2カ月入院したブランクからよみがえったパワーで圧倒した。30日の愛知県大会で、ドーリングの王座に挑む。

 戻ってきたパワーが、後楽園のマットを揺らした。曙が、ベルト返上の後に王座に就いた大森の頭を両足で挟み込む。現王者ドーリングを挑発するように笑い、脳天から落とす必殺のヨコヅナインパクト(パイルドライバー)。豪快な技で勝負を決め、復活ののろしを上げた。

 「いやあもう必死。めちゃくちゃ緊張した」と控えめに話したが、確かな手応えがあった。この日のタッグ戦は秋山、大森、ドーリングといずれも3冠ベルトを巻いた猛者たち。その中で、自分が最後に勝負を決めた。「どんなに練習しても1回試合をやるまでは分からない」と言っていた自信を取り戻す1勝だった。

 4月20日以来のリングだった。試合後に体調を崩し、同22日に肺炎で入院。再検査で不整脈が発覚した。結局、2カ月も入院した。「疲れや脱水症状が全部重なって出た。調子が悪いとか、全くない状況で突然発症した」と当時を振り返った。

 筋肉が落ち、体重も180キロ以下に激減。最高220キロを持ち上げたバーベルが、トレーニング再開時には40キロしか上がらなかった。「体はぶよぶよになるし、ここまで力が落ちるかと本当に落ち込んだ。こんな体調で防衛戦をやったら相手に失礼」と5月30日に、ベルト返上。休んでいる間に大森、諏訪魔、ドーリングと王者は3人代わった。

 「今、全日本には絶対的な王者がいない。ボクがなるしかないんです」と曙。体調が戻れば、まだまだ誰にも負ける気はしない。【桝田朗】<曙の復帰までの経過>

 ◆緊急入院

 12年9月30日に、同26日に大阪で行われた有刺鉄線電流爆破デスマッチで熱気を吸い込んだことなどが原因で肺炎を発症し緊急入院。

 ◆再入院

 14年3月22日に肺炎で再入院し、4月9日に退院。チャンピオン・カーニバル出場に踏み切る。

 ◆再々入院

 チャンピオン・カーニバル期間中の4月22日に、またまた肺炎を発症し緊急入院。同23日以降の試合を欠場。悲願のチャンピオン・カーニバル優勝はならなかった。

 ◆王座返上

 5月30日に全日本が会見で、不整脈により復帰のメドが立たないため曙の3冠ヘビー級王座返上を発表。

 ◆復帰宣言

 7月27日、後楽園大会のリング上で「8月16日に復帰します」と宣言。