WBC世界フライ級王者・八重樫東(31=大橋)が、5日に「軽量級最強」と称されるローマン・ゴンサレスとの大一番を迎える。2日には、都内で行われた予備検診で対面し、がっちり握手。笑顔の中にも、張り詰めるような緊張感を漂わせた。

 ゴンサレスが差し出した手を、八重樫は丁寧に握り返した。2階級制覇王者同士の対面は、笑顔で肩を組み合うなどリラックスムードだった。それでも八重樫は「落ち着いているし、隙がない」と、最強挑戦者が身にまとうただならぬオーラを感じ取った。大橋会長も「これから何が起こるのか。嵐の前の静けさのような、不気味な感じがした」と表現。柔らかな表情とは裏腹に、ピリピリとした緊張感が会場を包み込んだ。

 31歳にして、肉体はなお進化を続けている。この日の検診結果は、4月のV3時と比べ、さらなる成長を証明した。強化してきた首回りは約2センチ、胸囲も0・5センチ大きくなった。「結果として数字が出るとうれしい。身長もリーチもすべてにおいてアップしている。いい風が吹いている」と手応えを口にした。

 すでにジムでの練習は打ち上げており、残り約1キロの減量を中心とした最後の調整を残すだけ。「相手はパーフェクトなボクサー。リスペクトした上で、勝ちたい」。ベルトやチャンピオンという肩書は関係ないと断言する。強い者に勝ちたい-。八重樫が気持ちをとぎすまし、ゴングの時を待つ。【奥山将志】