ボクシングのWBC世界ミドル級9位村田諒太(28=帝拳)が、来春に米国デビューし、世界ランカーと初めて対戦することが濃厚となった。23日、帝拳ジムの本田明彦会長が明らかにした。世界王座獲得に向けて15年が勝負の年となる。村田はこの日、30日のプロ6戦目に向けて練習を公開。改良した高速ジャブでパートナーを圧倒するなど万全の調整ぶりをアピールした。

 村田が、来春に本場米国デビューする可能性が高まった。帝拳ジムの本田明彦会長は「今回の内容次第」と前置きした上で、4月ごろに米国進出を計画していると明言。3月のマカオでの興行に入る可能性も残すが「相手は(世界挑戦権を持つ)4団体のランキング15位以内の選手」と話し、村田が契約する米プロモート大手のトップランク社にも意向を伝えたという。

 米国で戦う狙いの1つは、早ければ来年末にも見据える世界挑戦に向け「MURATA」の名前をアピールすることだ。世界的に層の厚いミドル級でトップ戦線に食い込むため「顔を売る意味でも、出来るだけ目立つ所で思っている」と同会長。ラスベガスやロサンゼルスなど注目度の高い興行に試合を組み込みたい意向だ。

 WBC9位に位置する村田にとって、今後は1戦1戦が世界挑戦に直結する。村田も「(自分より)ランキングが上の人間が何人いるかというのが見えて緊張感がある」と立場を自覚。「ジャブ、ワンツー、ガードはすでに世界レベル」と実力を認める本田会長も「この階級は簡単ではない。まだまだ試合でクリアしないといけない課題もある」と厳しく内容を求めていく構えだ。

 「テストマッチ」の意味も持つプロ6戦目に向け、村田の準備に余念はない。「プロ仕様」と話す、小さなモーションから突き刺すような左ジャブを習得。「これまでは体を使いすぎていたが、殴るのは拳。長いラウンドを戦うことを考えている」と改良の意図を説明した。スパーリングでは、何度も相手の顔面をとらえ、得意の右ストレートをお膳立てするなど、万全の調整ぶりをアピール。14年を豪快に締めくくるつもりだ。【奥山将志】

 ◆日本選手とミドル級(リミット72・5キロ)

 米国、欧州などの選手層が厚く世界挑戦の機会がなかなか巡ってこない。日本選手の世界初挑戦は、95年12月にWBA王者ホルヘ・カストロを破って王座を獲得した竹原慎二。竹原は半年後のV1戦で9回TKO負けし王座陥落した。その後は、02年に保住直考、09年に佐藤幸治がともにWBA王者に挑戦も、王座獲得ならず。12年5月には石田順裕がWBO王者に、淵上誠もWBA王者に挑むも敗れた。石田は13年に現WBA王者ゴロフキン相手に2度目の挑戦も、王座獲得はならなかった。