7日にWBA世界フライ級王者となった亀田3兄弟の次男大毅(21=亀田)が初防衛戦をせずベルトを返上する可能性が出てきた。8日、神戸市内で一夜明け会見を行った大毅だが、試合後に高熱を出したことが判明。4日にも貧血で倒れるなどフライ級(リミット50・8キロ)の減量の影響は激しく、WBAから対戦を義務づけられている元同級王者坂田健史(30)の所属する協栄ジムとは裁判中と障害は残る。亀田ジムの五十嵐紀行会長は「選択肢はいくつかあると思います」と語った。

 ようやく手にしたベルトを、大毅がいきなり手放す可能性が出てきた。WBAからは90日以内に坂田と初防衛戦を行うことが義務づけられているが、8日の一夜明け会見後、亀田ジムの五十嵐会長は今後について「選択肢はいくつかあると思います」と「他の選択肢=王座を返上しての転級」もあることを示唆した。

 実際、坂田戦を実現させるには障害がある。現在、亀田プロモーションは大毅と興毅がかつて所属していた協栄ジムと計約1億円となるファイトマネー支払いなどを求めて裁判中だ。現時点では法廷で争っている両陣営の交渉がうまくいくかどうかの見通しは、全く立たない。

 しかも今回の世界戦で、大毅の減量が厳しいことが明白になった。一夜明け会見の大毅は疲労感がにじみ、試合後に体調を崩して祝勝会を欠席したと明かした。会見に同席した兄興毅は「熱も39度ぐらい出てた。こういうのは今までにない。東京に戻って1回検査してもらった方がいいかも」と弟の異変ぶりを不安げに振り返り、大毅は「寒くないのに体が震えた。プレッシャーがあったと思うし、その分が全部体にきたと思う。疲れましたね」と力なく笑った。

 4日にも減量の影響による貧血で自宅廊下で倒れた。「減量、きついっすよ。全体が悲鳴を上げている状態やから。(前日計量に向かう)新幹線の記憶がないくらい、ほんまつらかった」と話している上、まだ21歳と成長過程にある。興毅が「大毅は骨格も大きいし筋肉もついてきたから、しんどいと思う」と言うように、今後はさらに減量が厳しくなるはずだ。

 それでもフライ級で防衛戦を重ねていくかと聞かれた新王者は「その質問はされるって分かっていたけど申し訳ないけど答えられない。後のことは全然分からない」と語るにとどめた。

 会見では「あんまり後のことは考えたくない。今はほんまに疲れました。ゆっくり休みたい」と今後は白紙だと繰り返した。つかんだベルトを手放す決断など、簡単には下せない。日本初の兄弟王者という偉業実現に向けて限界まで追い詰めた心と体をゆっくり休めてから、大毅は「次」の結論を出す。【浜本卓也】