6月1日で60歳の誕生日を迎える元横綱千代の富士の九重親方の、還暦土俵入り(31日、両国国技館)で用いる「赤い綱」の綱打ちが28日、東京・墨田区の九重部屋で行われた。部屋の力士らが完成させた綱を、実際に締めた親方は「現役のころを思い出すね」とうれしそうに話した。

 とても還暦間近とは思えない肉体美を披露した親方。現在の体重は「116~117キロ」といい、現役時代と10キロも変わらない。91年夏場所途中で引退してから24年が経つ。高々と足を掲げるのが特徴的だった雲竜型の土俵入りの所作について「体に染みついていると思う。四股は全然やっていないから、期待しないで。足は上がるわけないじゃない」と笑った。

 三つぞろえの化粧まわしは、還暦土俵入りのために新調した。デザインは親方が赤富士、太刀持ちの横綱白鵬が青富士、露払いの日馬富士が白富士となる。「現役の横綱に介添えをしてもらえる。感無量。これだけみんなの手間暇がかかっているのを見ると、無事に務めたいね」と意気込みを語った。

 九重親方(元横綱千代の富士)は現役時代、31度の優勝を記録。現役時代には角界初の国民栄誉賞も受賞した。還暦土俵入りは歴代横綱で10人目となる。