武士の情けは、かえって失礼になる-。

 東前頭12枚目の千代大龍(27=九重、日体大出)が、勝負師の心得を説いた。

 この日の相手は、同じ学生相撲出身で11年夏場所初土俵の同期生でもある常幸龍(27=木瀬、日大出)。厳しい攻めで押し倒した際、もともと右膝に古傷がある常幸龍は、その右膝から崩れ落ち、車いすでの退場を余儀なくされた。

 「今場所一番の相撲」とライバル心も手伝い、会心の一番を振り返る千代大龍。「相手は、やまいっている(ケガしている)感じだったけど(対戦して)また、やまいかせっちゃった」と相手の負傷は承知の上で「でも土俵は厳しい世界。同情してなんかいられない。自分が逆の立場で同情されたら嫌だしね」。さらに「自分には妻と子供がいる。生活がかかっているから」と、勝負の世界に身を置く厳しさを、自らに言い聞かせるように話した。