横綱白鵬(31=宮城野)が全勝の大関稀勢の里(29)を下し、10勝1敗で優勝争いのトップに並んだ。立ち合いから一気に攻め込んで寄り倒した。

 前日のような奇跡的な粘りを、見せる余地も与えてくれなかった。寄り倒された稀勢の里の締め込みは砂で真っ白に。完敗だった。

 初めて、1差で追われる立場で迎えた白鵬戦。1度目の立ち合いでは、呼吸が合わずに「待った」した。1敗の相星決戦だった14年夏場所で、同じように重心を後ろに戻しかけた瞬間に立たれ、慌てて立ってあっけなく敗れた。今回は、冷静に対処したかに見えた。だが、呼吸が合った2度目の立ち合いでも、厳しく攻められた。これまでの生命線だった左おっつけができない。全勝が止まった。

 それでも支度部屋では、どこかが違った。「思い切っていくだけです。まだまだこれから。自分を信じて、最後までいきたい」。敗戦後は無言や舌打ちが目立ったこれまでとは、違う表情。前向きな言葉が心から出た。まだ並ばれただけ。気持ちは切れていない。