稀勢の里効果は衰え知らず! 大相撲夏場所(5月14日初日、東京・両国国技館)の前売り券販売が8日に始まったが、午前10時の販売開始から1時間半で、15日間全日程の前売りチケットが完売した。キャンセルがあった場合は今後も前売りが行われる。

 この日、両国国技館には雨の中、早朝から前売り券を求めて多くのファンが集まった。日本相撲協会では午前8時から、整理券を約200枚配布。館内のエントランスに100席ほどのイスを用意し、正午からの販売に備えた。

 だが、これより先に午前10時からネットなどで販売がスタート。来場者は、エントランスに設けられた販売状況を示す電光掲示のボードを食い入るように見つめたが、最初に売れ行き状況が更新された17分後には、マスA席(4人用)など数券種で終日、完売の赤い表示が。また「販売中」「残りわずか」を示すランプが徐々に減り、1時間後には赤いランプの「売切」で、ほぼ埋め尽くされた。そしてネット販売の開始から1時間30分がたった午前11時半には、残席がなくなった。

 整理券を配布されながらチケットを購入できなかったファンには、ポスターが配られた。事前の告知や来館者への説明もあり、混乱はなかったが、落胆の表情で家路に就く年配の女性ファンからは「こんなこと、つい数年前まではなかったのにね。ここに買いに来る意味がなくなっちゃった」という声も漏れた。

 チケット担当者も「ここに来られた方がチケットを買えないのは、私が担当になって初めて」と驚きの様子。協会事業部の浜風親方(43=元前頭五城楼)は「大阪(3月の春場所)も即日完売でしたし、ある程度は予想していましたが、ありがたいことです。逆転優勝もしましたし反響は大きいようで、ファンの方も期待してくれているのでしょう」と、横綱として初めて東京での本場所を迎える、稀勢の里効果と分析していた。