横綱稀勢の里(31=田子ノ浦)が土俵際へ追い込まれた。年6場所制となった1958年以降の横綱では6人目となる、5場所連続休場。19日、日本相撲協会に「左大胸筋損傷疑い、左前胸部打撲で3週間の安静とする」との診断書を提出した。東前頭2枚目の嘉風に敗れて1勝4敗、3日連続の金星配給となった前日5日目の取組で負傷した。横綱の5場所連続休場は、03年秋場所まで6場所連続で休場した武蔵丸以来。29日の横綱審議委員会(横審)では、進退問題が浮上する可能性も出てきた。

<関係者のコメント>

 ▼八角理事長(元横綱北勝海) 今度、出てくる時は「自信を持って行ける」というところまで、しっかり体を治してほしい。悪いところを治して出て来なければ駄目ということ。(いつまでという期限は)本人の判断。(足りないのは稽古の)番数ではないか。

 ▼38歳まで現役を続けた浅香山親方(元大関魁皇) 休み続けているうちに相撲が崩れた感じだ。春場所まであと1カ月半くらいある。稽古で毎日追い込めば、絶対に間に合う。

 ▼藤島審判部副部長(元大関武双山) 今は相撲を取れる感じではないが急に弱くなるわけがない。横綱の責任から100%でない状態で出てきての結果。ここは自分の体調だけを考え、先代の師匠に鍛えられた稽古をできる体に戻し、初心に帰れば復活できる。

 ▼兄弟子で田子ノ浦部屋付きの西岩親方(元関脇若の里) 下半身の力が落ちてきた。厳しい状況に変わりはない。もう一度、泥だらけになる覚悟があるかどうかだ。

 ▼6場所連続休場を経験した武蔵川親方(元横綱武蔵丸) けがが治らないまま出たり休んだりしているから、心にも傷ができた。2、3場所休んで、ずっと稽古を続けてから勝負を懸けるべきだ。

 ▼現役時代に稀勢の里のライバルだった鳴戸親方(元大関琴欧洲) 復活は難しい。一度落ちた力を取り戻すのは大変。最近は表情に自信がない。

 ▼出羽海審判部長代行(元前頭小城ノ花) 迷いからなのか勝たなければいけない気持ちが強すぎて焦っていた。強く当たっていても腰高の相撲で良くなかった。初日に勝っていれば流れも違ったかもしれない。