バルセロナ五輪柔道78キロ級金メダリストの吉田秀彦(28=新日鉄)が、2000年シドニー五輪を目指してカムバックする。全日本柔道連盟は2日、今月29日の全日本選手権の組み合わせを発表した。昨年の同選手権出場以来、1年ぶりに表舞台に登場する吉田にとって、復活への足掛かりをつかむ大会になる。

 世界の頂点を目指して、吉田が青畳に戻ってくる。切れ味鋭い内またがまた見られる。昨年4月から母校明大柔道部の監督代行に就任。古傷の左ヒジ痛もあり、この1年間は指導者としての顔が中心だった吉田が、「現役」として再び動き出すことになった。「出るからには一戦一戦、死に物狂いでやり、結果として優勝していれば、と思う」。組み合わせが決まり、静かな口調に闘志を表した。

 全日本選手権は2年連続5度目の出場となる。4年前の1994年(平6)大会の準決勝では、小川直也の大会6連覇を阻止。決勝で敗れたが、金野潤と死闘を繰り広げ主役となった。「久しぶりでまだ試合慣れしていないし、体はつくれていない。どれだけできるか確かめたい」と、思い出の大会で復活への第一歩をしるす気持ちが強い。

 復帰戦まで残り1カ月を切った。これからは午前中に警視庁へ足を運んで選手としてのけいこを積み、夕方から明大で後輩の指導というハードスケジュールとなる。調整時間は短いが、「前のようにすごい練習はできないけれど、練習していないと気持ちも乗らないから」とやる気は十分だ。今年11月の講道館杯までには、全盛時の状態を取り戻す青写真を描いている。

 過去2度出場した五輪で、金メダル獲得の栄光と、1回戦敗退の屈辱を味わった。「体力のなくなった分は経験がありますから」。31歳で迎えるシドニーで、再び光輝く自信はある。