松岡修造の長女恵さん(17)が宝塚音楽学校に合格しました。これまで有名人の娘が数多く入学しましたが、今回は飛び切りの「宝塚DNA」の持ち主です。

 高祖父が宝塚歌劇団の創設者でもある小林一三。阪急電鉄、東宝などの創業者でもあり、戦前には商工大臣も務めた大物です。そして、祖母にあたる修造の母も「千波静」の芸名で宝塚の男役として活躍し、その姉妹も「千波淳」「千波薫」の芸名で男役でした。さらには千波薫の娘も宝塚で「千波ゆう」と名乗り、退団後は田中里衣としてタレント活動をしています。そして、田中の兄は一般の会社員ですが、昨年9月に元宝塚トップスターで女優の蘭寿とむと結婚しており、まさに華麗なる「宝塚ファミリー」の申し子と言えるかもしれません。

 ただ、そういうファミリー出身ですから、入学後も「不合格になるわけがなかった」「特別扱いされた」などのやっかみの対象になる心配があります。実際、作家の故つかこうへいの長女愛原実花が02年に宝塚音楽学校に入学しましたが、それ以前につかの直木賞受賞作「蒲田行進曲」を原作に「銀ちゃんの恋」が宝塚で上演されており、「親の七光による合格」などと陰口をたたかれたこともありました。ただ、愛原はそういう周囲の目に負けず、娘役トップスターにまで上り詰めました。

 恵さんは169センチという長身で、男役志望のようですが、父修造のように明るくポジティブシンキングで突き進めば、スターとなる可能性も高いでしょう。音楽学校の競争率は26倍という難関でしたが、2年間の学校生活を経て、歌劇団に入団してからトップの座のたどりつけるのは同期で1人か2人、まったく出ない期もあります。そこには華麗なる「宝塚DNA」も役に立ちません。日々の努力がすべてとも言えますが、音楽学校の成績がいいからといっても、スターになる訳でもありません。どうすれば、多くの人に愛されるスターになれるのか。合格の喜びもつかの間、入学後はスターを目指して競争の始まりとなります。【林尚之】