月組の人気スター美弥るりかが、同期の凪七瑠海とダブル主演で、宝塚では珍しい昨年の同組本公演「ルパン」のスピンオフ作「THE KINGDOM」に臨む。トップ龍真咲が率いる月組へ移って2年。懸念の夏バテにも「なんとしても食べる」と対策を講じている。東京・日本青年館公演は23~28日。大阪・シアター・ドラマシティ公演は8月2~10日。

 トップ龍を支える月組の同期ツインタワー。美弥は凪七とともにダブル主演に抜てきされた。

 「安心感でもあり、刺激にも。彼女(凪七)が変わったなって思えば、私も何かをつかみたい! って。気になり続ける存在です」

 今作は、モーリス・ルブラン作「ルパン、最後の恋」を原作とした昨年の月組公演「ルパン」のスピンオフ。凪七扮(ふん)する情報部員のドナルドと、美弥演じる伯爵家次男、ヘアフォール伯爵の若き日を描く青春群像劇だ。

 「仕事を見つけて軍隊に入ろうとした直前、兄に代わって伯爵家を継ぐことに。ちょっとした恋愛模様、葛藤があっても、貴族なので沈着冷静。その点、ドナルド(凪七)は頭がきれてやり手、直情的です」

 全くタイプの違う2人の青年。ダブル主演作の妙にやりがいを感じる。

 「(凪七とは)ふざけていても、仕事の話になると、ぱっと変われる。芝居でも、イギリスをいい国にしようって思いは一緒なんですけど、今の私たちにも似ている。宝塚を、月組を2人で引っ張って、いい組に。リンクしていますね」

 月組へ移って2年。上級生になり、心身ともに「強化」を急ピッチで進める。

 「星組時代は上級生もいて、引っ張るとか考えたことがなかった。でも、今は、自分のことがきちんとできるのは当たり前で、みんなに背中を見せなくちゃ」

 2人姉妹の妹で、宝塚音楽学校時代から“妹”タイプ。首席だった凪七ら、仲間に引っ張られてきた。

 「私はみんなの背中に隠れて、先頭に立つタイプじゃなかった」。それゆえの意識改革だ。マジメで考え込むタイプでもあった。

 「体調を崩して、この間まで心も元気じゃなかったんです。以前は家に帰っても台本を読んでいて、夢でもうなされてセリフを言っていた(笑い)。でも、それをやめて、家では安らぐ瞬間、空間を作らなきゃって考えて、復活しました」

 今はお気に入りの野菜スープ作りに集中し、塩や日本酒を風呂に入れ入浴するなど、気分転換を心がけている。

 「切り替えが昔はできていなかった。自分がボロボロになって、やっと気づきました」

 残るは細身すぎる肉体改造と、苦手な夏の克服だ。

 「毎年、夏バテに。だんだん、食欲が落ちるんですよね。私、もともと、寒天、キュウリ、求肥(ぎゅうひ)とか栄養のあまりなさそうな物が好きで。偏食で、唐辛子、わさびの辛い物もダメなんですよね」

 多忙な日程と、激しい運動量。肉が大好物のタカラジェンヌは多いが、美弥は肉は得意ではないという。

 「みんながカルビなどをガンガン食べているのを見て、キツイときも(笑い)。みんな、私を見ると『ちゃんと食べてる?』って。でも牛肉より、豚肉なら…。だからこの夏は、豚肉を食べて乗り切ります!」

 心身強化作戦を進め、高くて強く、美しいツインタワーを築いていく。【村上久美子】

 ◆THE KINGDOM 作・演出=正塚晴彦氏。昨年の月組本公演「ルパン」(原作=モーリス・ルブラン「ルパン、最後の恋」)からのスピンオフとなるミュージカル。情報部員であるドナルド(凪七)と、ヘアフォール伯爵(美弥)の若き日を描いたオリジナル作品。2人の若者が大人へと成長する過程、男同士の友情などを描く青春群像劇。

 ☆美弥(みや)るりか 9月12日、茨城県生まれ。桜丘女子高を経て、03年「花の宝塚風土記」で初舞台。星組に配属。10年「ハプスブルクの宝剣」新人公演で初主演。12年4月、月組に組替え。6月「ロミオとジュリエット」でマーキューシオを好演。昨年は、梅田芸術劇場公演「ミー アンド マイ ガール」で、凪七とジャッキー、ジェラルドを役がわり。身長168センチ。愛称「るりか」「みやちゃん」。