女性3人組ボーカルユニットKalafinaが、10日にTBS系アニメ「アルスラーン戦記 風塵乱舞」のエンディングテーマ曲となっているニューシングル「blaze」を発売した。9月10、11日には兵庫・神戸ワールド記念ホールで、同16日、17日には、東京・日本武道館でライブを行う。Keiko、Wakana、Hikaru(いずれも年齢非公表)の3人が日刊スポーツの取材に、新曲の紹介とライブにかける思いを語った。

 Keikoは新曲について「約1年ぶりのシングルのリリース。前作『One Light』も同じ『アルスラーン戦記』のテーマ曲。作品つながりでリリースするのはご縁を感じます。私たちのモチベーションに、もう1度エンジンをかけてくれる力強い曲になっています」と紹介した。また「足を止めることもなく、ひたすら走り続ける、歩き続けるといった人の道筋を歌っている曲です。私たちも息継ぎさえしてはいけないような緊張感があり、エネルギーを落とすことなく歌い続けるようなハードな印象の曲です」。

 曲の枠組の中に歌い手の意思をどう込めるかは、Kalafinaの場合、メーンボーカリストがかじを取る。今回はHikaruが担当した。

 Hikaruは「ずっと走り続け、歩き続ける楽曲。歌にもそんな気落ちを込めたいと思い、基本は全力。ただ、最後まで一定のエネルギーで歌い続けないといけないので、抑制も入っています。タイトルの意味は炎。表には見えず、胸にともし続ける炎。一気に燃えると火は消えます。ともし続けるため、歌も最後まで同じ力で歌い続けることを意識しています」。

 Wakanaは「ともし続けるという火を、自分の中で燃やし続けることは難しく、勇気のいること。その勇気を持って走り続けることはもっと大変なこと。その疾走感はただ、走ることだけではなく、つらさだったり、重たいものと思いますが、それが歌詞の中に表現されています。2人(KeikoとHikaru)が歌うのを聴きながらそれをすごく感じたので、レコーディングは入り込みやすかったです。そして、そこに自分の音楽を重ねる楽しさがあります。どういう役割を自分が担っているのかを考え、2人が作る世界観を3人でさらに作り上げていく楽しさ。作詞、作曲した梶浦由記さんの世界、アニメの世界観もありますが、自分を重ね合わせた時、自分のどこに響くのかを問いかけながら歌いました」と語った。

 今のKalafiaにとっての炎をたずねると、Keikoがきっぱりと語った。

 「リアルにライブのリハーサルをやっているこの時期、この曲を歌う時はすごい熱量が高いです。アリーナツアーにかけている炎がメラメラしています。一瞬の隙さえ許さない空気感で日々、3人でリハーサルを重ねています」。さらに「3人で今やるべきこと、待っていてくれるお客さんのことを考えるだけで、炎はどんどん自分たちで燃やしていけるんです。1人じゃないという気持ち、待っていてくれている人がいる、歌わせてもらう責任感。いろんな気持ちがあって、胸の内の炎を消さずに進むことができています。曲のリリースやライブがあったりと今のKalafinaには炎を常に燃やさせてくれる源がたくさんあります。消えることはなく、さらに燃え上がります」と語気を強めた。

 一方、日本武道館のライブは昨年に続いて2度目となる。どんな内容となるのか。

 Keikoは「昨年の武道館が終わった瞬間、3人でもう1回、この武道館の響きを作りに戻ろうと話したんです。天井から降り注いでくる独特の響きを。今度は3人のハーモニーだけでなく、プレーヤーの方の音楽も含めて、武道館の響きを作りたいなと。そんな気持ちがあるので、戻るというより、Kalafinaの音楽を作りに行くぞという感じです。お客様との空気も含め、会場に集まった全員と一緒に私たちのハーモニーを作りたい」。

 そこで作られる音楽はどんな音楽になるのか。

 Keikoは「作り込んだ部分と、耳だけで、目をつぶって五感を研ぎ澄ましてハーモニーを楽しんでもらえる音楽。一音一音、絶対に聞き逃せないような緊張感で聴いていただけるところもあります。これまで作ってきた自分たちの音楽とライブの作り方を全部合算した今のKalafinaを見せよう、聴いてもらおうと思っています。私たちのライブをずっと追っかけてきてくれた人には、あの時のことが今につながっていると、つながりが分かると思います。それと、お客様が想像をふくらませることができる余白がきちんと残る演出も心がけています。余白を死守し、お客様が想像してくれる世界をつくるのがKalafinaワールドにつながると考えています」。

 3人はライブへの熱い思いを紹介してくれたが、ファンの楽しみの1つにはHikaruの楽しいトークもある。Hikaruは「精いっぱいやります」と笑顔。Keikoも「大丈夫。ファンの皆さんを裏切らないと思います」と期待を寄せていた。