NHKの次期会長に選出された、みずほフィナンシャルグループ名誉顧問の前田晃伸氏(74)が10日、都内の同局で、会見を行った。来年1月25日就任予定で任期は3年。上田良一会長(70)は来年1月24日に任期満了を迎える。

前田氏はNHKのあり方について「公共放送ですから国民の皆さんに信頼される質の高い番組を作り続けるにつきる」。経営で最も大切なことは「しっかり結果を出すこと」と語った。

会見の冒頭には次期会長に選ばれたことに「突然の話だったので家に帰ってカミさんに初めて言ったら『そんなのやめておけ』と言われました」と明かした。妻に関しては家族構成を説明する際にも「恐ろしいカミさんと2人」と紹介。過去にマスコミに追いかけられた際、妻に怒られたとし「今回も同じことが昨日、起こりました。ぜひ、事情をご理解して」と報道陣を笑いに包んだ。また、NHKの好きな番組は「科学番組。時間をかけてじっくり作っている」と評価した。

今後、テレビ番組を放送と同時にネットでも配信する「常時同時配信」など経営課題には「突然なので頭の中が整理できていない。来年1月に就任するまでに勉強し、しっかりやっていく」と語るに留めた。銀行の経験をNHKでどう生かせるのかとの問いには「放送と金融機関は全く違う。やってみないと分からない」とした。

消極的な印象も受けるが前田氏は「指名されれば全力でやるのが私の主義。やりたくないと言っているわけではない」と語った。さらに「カミさんに相談するとかはしませんでした」と語った。

また、政権との距離には「公平中立。どこかの政権とべったりという気はない。きちっとした距離を保つ」とした。

来年は東京五輪もある。来年の大河ドラマ「麒麟がくる」の出演者だった沢尻エリカ被告の事件もあった。前田氏は「東京五輪は、いい形で行われればいい。大河ドラマは報道でしか知らないので」とした。

前田氏は68年に東大法学部を卒業後、富士銀行に入行し、03年にみずほフィナンシャルグループ社長、09年に会長も歴任している。座右の銘は独立自尊。来年1月には75歳になる。前田氏は「年だと思う。定例の会見もある。皆さんが、言っていることがおかしいと思ったら、すぐ辞めろという記事を書いてください。すぐに辞めますから。早めに言っていただきたい」と報道陣を笑わせた。