生まれながら手足のない先天性四肢欠損症の佐野有美(あみ=21)が22日、歌手デビューの発表会を都内で行った。昨秋、佐野が出版した詩集「あきらめないで」(主婦と生活社)の詩に、作曲家・都志見隆(52)が曲をつけたデビューシングル「歩き続けよう」と、アルバム「あきらめないで」が22日に発売される。

 わずかに残された左足の3本の指で、車いすのレバーをしっかり握り、笑顔で元気に歌を披露した。「手足はありませんが、声は自由に使えます。不便ですが不幸じゃないです。歌うことで、みなさんにいろいろな思いを伝えられれば」。

 生まれた時、家族は絶望のどん底に落ちた。母は涙するだけ。父は娘の口を手でふさげば…、とも考えたが、佐野のとびっきりの笑顔が救った。母は足の3本の指で何でもできるよう、厳しく訓練してくれた。

 高校時代はチアリーダー部に入り、声出し係としてがんばった。「笑顔と元気がモットー。笑顔でいれば、回りの人も明るくなるし、連鎖してたくさんの人が笑顔になりますから」と、前向きに生きてきた。

 つらい時、大好きないきものがかりの歌に励まされた。「私もいろいろな方に勇気と元気を届けたい」と話した。