09年11月に亡くなった俳優森繁久弥さんがミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」で演じた主人公「テヴィエ」の胸像が東京・世田谷区の千歳船橋駅前に設置され、22日、除幕式が行われた。

 ミュージカル「屋根の上のバイオリン弾き」は森繁さんが「テヴィエ」として900回出演した代表作。胸像は森繁さんの次男建(たつる)さん(71)から世田谷区に寄贈された。建さんは「家族で持っているよりも、皆さんに喜んでもらえる方がいいと思いました。父も喜んでいると思います」と寄贈に至った思いを語った。生前、森繁さんは60年以上世田谷区に住み、同区の名誉区民でもある。

 森繁さんが亡くなった11月10日は、くしくも高倉健さんの命日でもあった。2人は82年の映画「海峡」で共演し、その後私生活でも、ボートに乗りに出かけるなど親交が深かったという。建さんは高倉さんについて「礼を尽くす方。本当に義理固い。家の父の一周忌、三回忌にお供えものをいただいた」。森繁さんが亡くなって5年になる今年は「(供え物を)直接父にもっていったのかな」と悼んだ。

 この日は森繁さんが作詞・作曲した「知床情緒」を71年に歌いミリオンセラーとなった歌手・加藤登紀子(70)も出席。胸像が「待ち合わせの場所。御利益のある場所になればいいですね」と笑った。