ドラマ化された直木賞候補作「鹿男あをによし」の作家、万城目(まきめ)学氏(32)のデビュー作「鴨川ホルモー」が舞台化されることが22日、分かった。主演は現在製作中の映画版に別の役で出演する石田卓也(21)が初舞台を踏む。コンピューターグラフイック(CG)を多用する映画に対し、ベストセラーの原作を軸にした人間ドラマを描くという。

 「鴨川ホルモー」は京都大学を舞台に、鬼の姿をした式神(しきがみ)を操る対戦型ゲーム「ホルモー」に熱中するサークルに入った若者たちを描く。「鬼語」を使って鬼を操るなど奇想天外なストーリーで、映像化や舞台化は不可能と言われてきた作品だった。09年公開の映画版の撮影はすでに終了しているが、舞台化はまったく別の企画として進められ、来年5月15日から6月7日まで、東京・吉祥寺シアターで上演される。

 映画版は鬼が出るシーンなどにCGが多用される予定。CGを使用できない舞台の制作サイドは「その分、人間ドラマをしっかり描きます。男女のラブストーリーを含む青春活劇という原作の基本軸を忠実に描きたい」と話している。

 主人公の安倍を演じる石田は映画版では、安倍にライバル視されるサークル仲間、芦屋を演じた。石田は初舞台で主演の大役を担うものの、制作サイドは「立ち姿がきれいで、舞台でも見栄えがするはず。キャリアも申し分ない。映画版の出演とは関係なくキャスティングしました」と説明する。

 舞台こそ初めてだが、若手実力派とされる石田は映画を中心にキャリアを積んできた。05年のデビュー作「蝉しぐれ」で市川染五郎の少年時代を演じ、高い評価を得た。「キトキト!」では高校生からホストに転身する若者、「リアル鬼ごっこ」では鬼に追い掛けられる大学生と個性的な役柄も経験している。

 石田は「初舞台で初主演。分からないことだらけなので楽しみでもあり、すごくプレッシャーも感じています」。偶然とはいえ映画版に続き、同じ物語の舞台版に出演することに「初舞台というプレッシャーがある中で違う役とはいえ、作品を1度経験しているのは安心材料の1つ。(主人公の)安倍を客観的に見てきたことを生かしたい」と意気込んでいる。