嵐櫻井翔(30)と、なでしこジャパンのエースMF沢穂希(33)が今月上旬、東日本大震災で亡くなった「未来のなでしこ」の“追悼試合”を兵庫県内で行っていたことが10日、分かった。

 日本テレビ系「24時間テレビ35『愛は地球を救う』」(8月25、26日)の企画として、メーン司会の櫻井と、沢が所属するなでしこリーグINAC神戸が協力して実現。昨年3月11日、岩手県陸前高田市で津波にのまれ、17歳でこの世を去った小山史織さんをしのび、所属していた岩手・水沢UFCプリンセスとINAC神戸が対決した。

 史織さんは、中学3年で国体県選抜に入るなど将来を嘱望されたFWだった。中学の卒業文集には「私には夢がある。W杯に出場することだ。5年後はきっと日本代表のエースです。サイン欲しい人は早めに言ってください」と記した。

 愛娘を亡くし、絶望のふちにいた母悦子さんを救ってくれたのが、なでしこジャパンだった。昨年のW杯で娘に雰囲気が似ている選手を探し、優勝を見届けた。その後、気持ちも少しずつ前向きになれたという。

 兵庫県内のサッカー場に悦子さんと父浩幸さんも招待された。INAC神戸は7人が招集されたロンドン五輪が直前に控える中、試合時間30分を全力でプレー。沢はゴールを決めると、ベンチにいた史織さんの両親と抱き合った。沢は、史織さんが最も憧れた選手。両親は涙を浮かべて喜んだ。

 特別出場した櫻井は「感動的でした。豪雨も試合の間だけはあがっていた。史織さんが見てくれていたんだと思います」。沢は「きっと天国で史織さんも見てくれていると思う。今、普通にサッカーができることに感謝しながら一生懸命がんばりたいです」と言った。ロンドン五輪には、史織さんの思いも背負って行く。

 ◆なでしこジャパンと東日本大震災

 震災後、福島第1原発近くのJヴィレッジで活動していた東京電力マリーゼが活動を休止。所属していたDF鮫島彩と09年まで所属していた丸山桂里奈が、なでしこの一員として昨年のW杯ドイツ大会に出場。日本の初優勝に貢献し、震災で傷ついた日本を励ました。試合前に震災の映像を見た選手たちは「東北にいいニュースを届けられるように」と気持ちを高めたという。