第79回カンヌ映画祭(フランス)で、日本人初の女優賞を受賞した、濱口竜介監督(47)の新作「急に具合が悪くなる」(6月19日公開)主演の岡本多緒(41)が29日、インスタグラムを更新。
ベルギー出身のフランスの俳優ビルジニー・エフィラ(49)と同賞を共同受賞したことについて「今でも夢のように感じています」とつづった。一方で「この受賞は、決して私個人が俳優として優れた技術を持っていたからではなく、濱口監督の素晴らしい脚本と演出のもと、Virginieさんとの間に、お互いを響き合わせる奇跡のような瞬間が生まれたからこそ得られたものです」と強調した。
岡本は「私は、芝居の基本とは『相手の言葉や感情を聞き、受け取り、それに反応すること』にあると思っています。(さまざまな演技メソッドがあるので、あくまで個人的な考えです。)」と、自身が考える芝居を定義付けた。その上で「今回、濱口監督の演出のもとで、その原点を改めて再認識させていただき、これまでにないほど演技の基礎的な部分を楽しみ、愛することができました」と濱口監督に感謝。「そして私たちの間に生まれた“何か”を、世界最高峰の映画祭であるカンヌ国際映画祭で評価していただけたことを、とても光栄に思っていますし、だからこそ、この賞を共同でいただけたことには、大きな意味と価値があったと感じています」と、エフィラとの共同受賞の意義を強調した。
また「私たちの間に奇跡のような瞬間が生まれるまでには、その環境を作ってくださったスタッフの皆さんによる絶大なるチームワークと支え、そして周囲の素晴らしい俳優陣の唯一無二のパフォーマンスがありました。その素晴らしいチームを作り上げたのは、濱口竜介監督以外の誰でもありません」と濱口監督にも感謝した。
その上で「だからこそ、この賞は“みーーーーーんな”で分かち合いたいと、心の底から思っています」と強調。「『日本人初』という称号は身に余るもので、とても気恥ずかしくもあります。重複しますが、これは私個人ではなく、この素晴らしい映画そのものへの評価だと思っています。だからこそ、この作品をより多くの方に観ていただけるきっかけになれば、これ以上嬉しいことはありません」と。個人賞でありながら、作品に与えられた賞である、との認識をつづった。
そして、27日に東京・TOHOシネマズ日比谷で行われたジャパンプレミアを振り返り「長塚京三さんが『この映画を観て、映画で世界は変えるられるかもしれないと直感した』とお話しされていました。その言葉は、私がなぜ映画の世界に飛び込んだのかを思い出させ、私の中を反芻して、今でも涙を浮かべさせます」と、共演の長塚京三(80)の“名言”を紹介した。
「急に具合が悪くなる」は、がんの転移を経験しながら生き抜く哲学者の宮野真生子氏と、臨床現場の調査を積み重ねた人類学者の磯野真穂氏がかわした20通の往復書簡を元にした、19年の同名共著(晶文社)を原作に、濱口監督が脚本を執筆。パリ郊外の介護施設の施設長マリー=ルー・フォンテーヌと、がんで闘病中の日本人演出家・森崎真理との交流を描く。マリー=ルーをエフィラ、真理を岡本が演じた。マリー=ルーと真理を引き合わせる重要な役どころとして、真理が演出する舞台に出演する俳優の清宮吾朗をた長塚京三(80)、吾朗の孫の窪寺智樹を黒崎煌代(24)が演じた。
◆「急に具合が悪くなる」 フランス、パリ郊外の介護施設「自由の庭」の施設長マリー=ルー・フォンテーヌ(ビルジニー・エフィラ)は、入居者を人間らしくケアすることを理想としつつ、人手不足やスタッフの無理解などに悩まされている。そんな中、日本人の演出家・森崎真理(岡本多緒)に出会い、がん闘病中の真理の描く演劇に勇気をもらう。同じ名前の響きを持つ偶然に導かれて、交流を始めた2人だったが、ある時、真理が「急に具合が悪くなる」。真理の病の進行とともに、2人の関係は劇的に深まり、互いの魂を通わせ合うようになる。



