元人気子役で2010年(平22)4月に俳優業を引退した黒田勇樹(30)が、7月10日に結婚していたことが同31日、分かった。お相手は歌手中村瑠衣(21)。離婚歴のある中村は5歳の息子を持ち、黒田は結婚と同時に1児の父となった。引退後は職を転々とし、現在は自称「ハイパーメディアフリーター」。映画館でポップコーン売りをする傍ら映画宣伝にも携わっている。映画製作のオファーもあり、今後は一家の大黒柱になるべく、監督業挑戦を決意した。

 俳優業引退から2年。フリーター生活を続けていた黒田が結婚し、映画監督としての復帰を決意した。6月末にインターネットを通じ個人から協賛金を募る「クラウドファウンディング」で映画を製作する企画「Firoom」の関係者から、監督のオファーを受けた。引退後、黒田が主催したイベントを通じ知り合った中村と5歳の息子との交流も1年半が過ぎ、プロポーズした。「子どもがいる女性との交際は責任が大きい。どっちつかずの状況の中で監督の話をもらい、自分の手のひらにあるものを守りたくなりました」。

 1歳から始めた芸能人生活は順風満帆。日本人離れした顔立ちでモデルとして人気に。6歳でNHK大河ドラマに出演し、帝国劇場最年少主演記録となる8歳でミュージカル「オリバー!」に主演した。その後、映画賞新人賞も受賞した。だが、07年に体調不良で舞台「ビューティー・クイーン・オブ・リナーン」を降板したことをきっかけに仕事が激減。アルバイトを始めた。そして、10年4月、所属事務所から移籍を勧められたことをきっかけに「俳優以外の仕事が出来るか確認できるタイミングは今しかない」と思い、俳優業を引退した。

 その後、引っ越し、移動水族館の案内係など職を転々とする過程で、知人から都内のシネコン「新宿バルト9」のポップコーン売りの仕事を紹介された。映画好きな黒田は熱心に働き、同劇場を運営するティ・ジョイからの命で、同社配給のアニメ映画「放課後ミッドナイターズ」(竹清仁監督、25日公開)の宣伝チームへ出向。興行、宣伝を経験する中で、憧れていた監督への挑戦を打診された。

 04年に仮面ライダーブレイドを演じた経験から、特撮映画の製作を決め13年公開を目指し脚本を書いている。妻は「夫が監督として大成するように私も歌を歌い続けます」と約束しているが、息子を朝に保育園へ送り、帰宅後から夜まで遊ぶため連日、妻子が寝てから脚本を書いているという。タイトルは「メンタルヒーローJ1」(仮称)で、ポジティブになるほど強くなるヒーローとネガティブになるほど強くなるダークヒーローの戦いの物語。黒田は「息子はまだ僕を勇樹君としか呼ばない。でも、父の仕事はフリーターと言わせたくない。いい映画を作ります」と誓った。

 ◆黒田勇樹(くろだ・ゆうき)1982年(昭57)4月23日、東京都生まれ。1歳でモデルとしてCMや雑誌に出演し、88年にNHK大河ドラマ「武田信玄」で武田信勝を演じ俳優デビュー。90年には帝国劇場最年少主演記録となる8歳でミュージカル「オリバー!」に主演。98年に映画「学校3」(山田洋次監督)で小島富美男を演じ、日本アカデミー賞新人俳優賞など受賞。10年4月に俳優業を引退し、フリーターに。171センチ、血液型O。