86年に亡くなったアイドル歌手岡田有希子さん(享年18)の代表曲「くちびるNetwork」を、所属事務所サンミュージックの後輩で、10人組ガールズユニット「さんみゅー(β)」(読みはさんみゅー)がデビュー曲としてカバーすることが1日、分かった。8月4、5日に東京・台場で行われる「TOKYO

 IDOL

 FESTIVAL2012」で初披露される。同曲がカバーされるのは初めて。

 「くちびる-」は86年1月に発売された。23万1000枚を売り上げ、オリコンランキング1位も獲得、岡田さん最大のヒット曲となった。作詞はSeiko名義の松田聖子、作曲は坂本龍一が手掛け、大人っぽい歌詞と印象的なメロディーだ。

 発売から2カ月半後の4月に岡田さんが衝撃的な飛び降り自殺をしてしまったため、存命中に出した最後のシングルとなってしまった。所属事務所サンミュージックにとっては、岡田さんのいい時とつらい事件を思い起こさせる曲でもあり、その分大事にしてきたという。これまでカバーで歌われたことはない。

 さんみゅーは同事務所が21年ぶりに手掛けるアイドルということで、大事な曲をデビュー曲にすることが決まった。関係者は「時代を超えて愛される曲。特別な曲なので、21年ぶりのアイドルに歌わせてみたい」と選んだ理由を語った。

 「くちびる-」はダンスを交えてパフォーマンスできるよう、アップテンポに編曲された。先月下旬にレコーディングを終えたばかりで、リーダーの西園みすず(17)は「自分たちがノリノリで歌った曲が、お母さんも歌えるってすてき」と、世代を超えた曲だと実感している。

 もっとも、岡田さんについては、知らないメンバーもいたようだ。新鮮な気持ちで歌ってほしいという制作側の意向もあって、当時の歌番組などの映像などは見ないでレコーディングに臨んだ。曲に関する情報がなくても「歌詞が面白い」「何だか懐かしい」と話すメンバーもいたそうだ。

 13~18歳で構成されるさんみゅーは現在、夏休みを利用して、3LDKの部屋で共同生活を送りながら歌やダンスのレッスンをしている。「くちびる-」の初披露に向けて、練習にも気合が入っているという。インディーズデビューのため、CDはライブ会場やサンミュージックのホームページで販売される。

 ◆岡田有希子(おかだ・ゆきこ)本名・佐藤佳代。1967年(昭42)8月22日、愛知県生まれ。83年、オーディション番組「スター誕生!」でチャンピオンになり芸能界入り。84年「ファースト・デイト」でデビューし、日本レコード大賞最優秀新人賞など獲得。グリコのCMやドラマ「禁じられたマリコ」で主演するなど活躍。十七回忌の02年に、コンサートの最後に歌っていた「Believe

 In

 You」が発売されるなど、根強い人気がある。